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Dharmacakra
智慧之大海 ―去聖の為に絶学を継ぐ

『四分律』 衣揵度

原文

爾時異住處四方僧。得貴價僧伽梨作臥具。諸比丘不知云何白佛。佛言。應持貿易餘物隨處用。不知使誰貿易。白佛。佛言。聽比丘貿易。若使守僧伽藍人若沙彌優婆塞易。若施主自易隨處用。時世尊在跋提國。有比丘得芻摩衣。白佛。佛言聽畜。有比丘得羅睺多衣白佛。佛言聽畜。有比丘得阿哆睺多衣白佛。佛言聽畜。時六群比丘畜上色染衣。佛言不應畜。時六群比丘畜上色錦衣。佛言。不應畜錦衣白衣。法不應畜。應染作袈裟色畜。時六群比丘著不截鬚衣。佛言不應畜。有六群比丘錦作衣鬚。佛言不應畜。六群比丘畜頗那陀施衣。佛言不應畜。如是癡人。隨我所制更作餘衣。

時世尊在波羅捺國。有檀越送食。諸佛常法。若不往食。在後案行房舍。案行房舍時。見有比丘舒僧伽梨在地欲安帖。見已往比丘所語言。汝何故舒衣在地。比丘言。欲使裏相著外有帖現。佛言。善哉善哉。比丘如汝所作。時諸比丘食還。世尊以此因縁集比丘僧告言。汝諸比丘。食後我案行房舍。見有比丘舒僧伽梨在地欲安帖。見已往比丘所語言。汝何故舒衣在地。比丘言。欲使裏相著外有帖現。我即讃歎善哉。如汝所作。自今已去。聽諸比丘作新衣。一重安陀會。一重欝多羅僧二重僧伽梨。若故衣聽二重安陀會二重欝多羅僧四重僧伽梨。若糞掃衣隨意多少重數

爾時世尊在曠野國。時衆僧得善顯現衣。佛言聽畜。得錦衣。佛言不聽畜。諸比丘得蚊厨。佛言聽畜。爾時世尊在跋耆國人間遊行。往失守摩羅山至恐畏林鹿野苑中住。時有菩提王子。作新殿堂。未有沙門婆羅門一切人坐者。爾時王子。聞佛從跋耆國人間遊行往失守摩羅山恐畏林鹿野苑中住。即遣人喚薩闍婆羅門子語言。汝持我名往佛所。頭面禮足問訊世尊。起居輕利少病少惱住止安樂。如是白佛。願佛及僧。受我請食。我造新殿堂。未有沙門婆羅門一切人民坐者。願佛先坐。然後菩提王子坐。得福無量。時薩闍婆羅門子。禮王子足已。往世尊所敬問訊已。却坐一面。白世尊言。菩提王子。稽首世尊足下。問訊起居輕利少病少惱住止安樂。如是白佛。願佛及僧。受我請食。我造新殿堂。未有沙門婆羅門一切人民坐者。願佛先坐。然後王子坐。得福無量。時世尊默然許可。時薩闍婆羅門子。聞佛許可已。從坐起遶佛而去。還菩提王子所。白如是言。沙門瞿曇。我已白竟。默然許可。今正是時時王子。即設種種美食夜過已。明日掃灑殿堂。布好新衣從階陛至殿。時至遣人白佛。時世尊著衣持鉢。與千二百五十比丘僧倶。詣菩提王子家。時王子至外門裏迎佛。遙見佛來。前頭面。禮足已。隨侍佛後。如順教弟子。世尊入王子堂前默然而立。王子言。願佛在衣上行上殿。令我得福安樂。王子第二第三如是白世尊。世尊默然。時世尊顧視阿難。阿難知佛不欲躡新衣上行爲利益後衆生故。阿難語王子言。可攝此衣。如來不欲在上行。爲利益後衆生故。時王子疾疾却衣已白佛言。願佛上殿。令我得福。時佛即上殿就座而坐。時王子飯佛及僧種種多美飮食。食已捨鉢。取一小床在一面坐。時世尊種種方便爲王子説法已。從坐而去。還本住處。以此因縁集比丘僧告言。若大價衣布地。不應在上行。若行如法治。爾時比丘房舍多塵土。佛言聽灑掃灑掃已故復有塵。佛言。聽以泥漿汚灑。若故有塵。伊梨延陀耄羅耄耄羅毛𣰽𣯫。十種衣中。若一一衣。作地敷

爾時世尊在舍衞國。王波斯匿有異母。信樂佛法。以王所著大價錦衣。施四方僧已便命過。時比丘用作地敷。有諸不信樂大臣。至僧伽藍中觀看。見比丘以王所著大價錦衣作地敷。見已皆共譏嫌言。沙門釋子不知厭足。多貪畜遺餘。自言我知正法。如是觀之何有正法。以王所著大價衣用作地敷。檀越雖施受者當知足。諸比丘白佛。佛言。不應以王所著大價衣作地敷。自今已去。聽用作臥褥坐褥作枕作覆上衣。

爾時比丘。裹頭至佛所白言。大徳。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言。比丘不得裹頭。是白衣法。若裹頭如法治。時諸比丘頭冷痛白佛。佛言。聽以毳若劫貝作帽裹頭。爾時比丘。誕陀盧多梨著衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言。不得如是著衣。除僧伽藍内。此是白衣法。若如是著衣如法治。爾時比丘著一衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法願佛聽。佛言。不應著一衣。除大小便處。此是白衣法。若著如法治。爾時比丘著串頭衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言。不應著此衣。是白衣法。若著如法治。爾時比丘著襖往世尊所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是白衣法。若著如法治。爾時比丘著皮衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是白衣法。若著如法治。爾時比丘著褶。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是白衣法。若著如法治。爾時比丘著袴。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是白衣法。若著如法治。爾時比丘著行縢。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是白衣法。若著如法治。爾時比丘著蒲草行縢。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是白衣法。若著如法治。佛語比丘。汝癡人。隨我所制更作餘事。如是一切白衣之法不得著。時諸比丘。假作編髮螺髻。來佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應爾。此是外道法。若作如是如法治。爾時有比丘持木鉢。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言。不應持如是鉢。此是外道法。若畜如法治。爾時比丘持鉢樓 三奇杖倒拄地持鉢置中上安横串衆物肩荷而行故名鉢樓 往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言。此是外道法不應持。若畜如法治。爾時比丘著繍手衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是外道法。若畜如法治。爾時比丘著草衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是外道法。若著如法治。如是衣若草衣。裟婆草衣。樹皮衣。樹葉衣。珠瓔珞衣。如是一切衣不得畜。若畜如法治。爾時比丘著外道皮衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。若著如法治。爾時比丘著鷲毛衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是外道法。若畜如法治。爾時比丘著人髮欽婆羅衣。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是外道法。若著偸蘭遮。爾時比丘。著馬毛𤛆牛尾欽婆羅衣。往佛所白佛言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應著。此是外道法。若著如法治。爾時比丘露身。往佛所白言。此是頭陀端嚴法。願佛聽。佛言不應爾。此是外道法。若露身偸蘭遮。佛言。如是癡人。隨我所制復作餘事。如是一切外道法。不應作

爾時有往處。現前僧大得可分衣物。諸比丘不知云何。往白佛。佛言聽分復不知云何分。佛言。應數人多少。若十人若二十人。乃至百人爲百分。若有好惡當相參分。彼便自取分。佛言。不應自取分。應擲籌分。彼便自擲籌。佛言。不應自擲籌。應使不見者擲籌。時分物時。有客比丘來。佛言應與分。作分竟。有客比丘來。應與分。未擲籌時來。應與分。擲籌時來。應與分。擲籌竟來。不與分。歡喜受分已。有客比丘來。不與分。若有餘更分。竟來不應與分。若已與沙彌。使人分已來。不應與分。比丘分衣時。有客比丘。數數來。分衣疲極。應差一人令分白二羯磨如是與衆中差堪能羯磨者。如上作如是白。大徳僧聽。此住處若衣若非衣。現前僧應分。若僧時到僧忍聽。僧與某甲比丘。彼當與僧白如是。大徳僧聽。此住處若衣若非衣。現前僧應分僧今與某甲比丘。彼比丘當與僧。誰諸長老忍。此住處若衣若非衣現前僧應分。僧與某甲比丘。彼某甲當與僧者默然。誰不忍者説。僧已忍。與某甲比丘。彼某甲當與僧竟。僧忍默然故。是事如是持。

爾時比丘得婆輸伽衣白佛。佛言聽畜。諸比丘患寒白佛。佛言。聽著複貯衣。爾時有異住處一比丘住。時現前僧大得可分衣。諸比丘不知云何白佛。佛言。若比丘住處有一比丘住。大得現前僧可分衣。若有客比丘來。若四人若過四人。應持衣與一比丘令白二羯磨分。若有三人應彼此共三語受共分。若二人共三語受共分。若一人應心念口言此是我分。爾時有住處。有比丘有比丘想。欲別部分衣。諸比丘不知成分不成分。白佛。佛言。不成分得突吉羅。爾時有住處。有比丘疑別部分衣。諸比丘不知成分不成分。白佛。佛言。不成分得突吉羅。爾時有住處。有比丘作無比丘想別部分衣。比丘不知成分不成分白佛。佛言。不成分不犯。爾時有住處。無比丘有比丘想分衣。諸比丘不知成分不成分白佛。佛言。成分得突吉羅。爾時有住處。無比丘有疑分衣。不知成分不成分白佛。佛言成分得突吉羅。爾時住處。無比丘無比丘想分衣。諸比丘不知成分不成分白佛。佛言成分衣無犯。爾時有住處。有比丘有比丘想別部受衣。諸比丘不知成受衣不白佛。佛言。不成受衣得突吉羅。爾時有住處。有比丘疑別部受衣。諸比丘白佛。佛言。不成受得突吉羅。爾時有住處。有比丘無比丘想別部受衣。諸比丘不知成受不白佛。佛言。不成受不犯。爾時有住處無比丘有比丘想受衣。諸比丘不知成受不白佛。佛言。成受得突吉羅。爾時有住處。無比丘疑受衣。諸比丘不知成受衣不白佛。佛言。成受得突吉羅。爾時有住處。無比丘無比丘想受衣。諸比丘不知成受不白佛。佛言成受無犯

四分律卷第四十

訓読

の時、異住處いじゅうしょ四方僧しほうそう貴價きけ僧伽梨そうぎゃりを得て臥具がぐを作る。諸の比丘、云何いかんせんか知らず。佛にもうさく。佛いわく、まさに持て餘物よもつ貿易むやくし、ところしたがいて用ふべしと。誰をして貿易せしむるか知らず。佛に白く。佛言く、比丘の貿易をゆるす。若ししゅ僧伽藍そうがらんにんしは沙彌しゃみ優婆塞うばそくをして易へしめ、若しは施主せしゅ自らへ、處に隨て用ひよ。時に世尊、跋提ばっだい國にましましき。比丘有て芻摩衣しゅまえを得。佛に白く。佛言く、畜ふることを聽すと。比丘有て羅睺多衣らこうたえを得。佛に白く。佛言く、畜ふることを聽すと。比丘有り、阿哆睺多衣あしゃこうたえを得。佛に白く。佛言く、畜ふることを聽すと。時に六群比丘、上色じょうしき染衣ぜんえを畜ふ。佛言く、畜ふべからずと。時に六群比丘、上色の錦衣きんえを畜ふ。佛言く、錦衣を蓄ふべからず。白衣びゃくえは法として畜ふべからず。應に染て袈裟けさじきして畜ふべしと。時に六群比丘、不截ふぜち鬚衣すえを著く。佛言く、畜ふべからず。六群比丘有て錦を以て衣鬚えすを作る。佛言く、畜ふべからず。六群比丘、頗那陀施衣はなだせえを畜ふ。佛言く、畜ふべからず。是くの如き癡人ちにん、我が制する所に隨ひ、更に餘衣よえを作すと。

時に世尊、波羅捺ばらな國に在しき。檀越だんおち有てじきを送る。諸佛の常法、若しゆきじきせざれば、後に在て房舍ぼうしゃ案行あんぎょうす。房舍を案行する時、比丘有て僧伽梨をのべて地に在き、ちょうやすんぜんと欲するを見たまふ。見おわりて比丘の所に往き、かたりて言く、汝、何の故にか衣を舒べ地に在くやと。比丘言く、裏相りそうをして外にあらわせしめ、帖の現ずること有らしめんと欲すと。佛言く、かな、善い哉。比丘、汝の作す所の如きと。時に諸の比丘、食より還る。世尊、此の因縁を以て比丘僧を集め、告て言く、汝、諸の比丘、食後に我れ房舍を案行し、比丘有て僧伽梨を舒べ地に在き、帖を安ぜんと欲するを見る。見已て比丘の所に往て語て言く、汝、何が故にか衣を舒べ地に在くやと。比丘言く、裏相をして外に著せしめ、帖の現ずること有らしめんと欲すと。我れ即ち讃歎す。善い哉、汝の作す所の如きと。自今已去じこんいこ、諸の比丘、新衣しんえを作るには、一重ひとえ安陀會あんだえ、一重の欝多羅僧うったらそう、二重の僧伽梨そうぎゃりを聽す。若し故衣こえは二重の安陀會、二重の欝多羅僧、四重よえの僧伽梨を聽す。若し糞掃衣ふんぞうえこころに隨て多少の數を重ねよと。

爾の時、世尊、曠野こうや國に在しき。時に衆僧しゅそう善顯現衣ぜんけんげんえを得。佛言く、畜ふることを聽すと。錦衣を得。佛言く、畜ふることを聽さずと。諸の比丘、蚊厨もんちゅうを得。佛言く、畜ふることを聽すと。爾の時、世尊、跋耆ばっぎ國に在て人間にんげん遊行ゆぎょうしたまふ。失守摩羅山ししゅまらせんに往き恐畏林くいりんに至て鹿野苑ろくやおん中に住したまふ。時に菩提ぼだい王子有て、新たに殿堂を作る。未だ沙門・婆羅門、一切人の坐する者あらず。爾の時、王子、佛の跋耆國より人間に遊行し、失守摩羅山の恐畏林に往て鹿野苑中に住したまふを聞き、即ち人を遣て薩闍さじゃ婆羅門の子をよびて、語て言く、汝、我が名を持て佛の所に往き、頭面ずめん禮足らいそくして世尊を問訊もんじんせよ。起居ききょ輕利きょうりなりや、少病しょうびょう少惱しょうのうにして住止じゅうし安樂あんらくなりやと。是くの如く佛に白せ、願くは佛及び僧、我が請食しょうじきを受けよ。我れ新殿堂を造るに、未だ沙門・婆羅門、一切人民の坐する者あらず。願くは佛、先ず坐したまへ。然る後に菩提王子坐せば、福を得ること無量ならんと。時に薩闍婆羅門の子、王子の足を禮し已て、世尊の所に往き、敬して問訊し已り、しりぞきて一面に坐し、世尊に白して言く、菩提王子、世尊の足下を稽首けいしゅしたてまつり、起居輕利なりや、少病少惱にして住止安樂なりやを問訊したてまつる。是くの如く佛に白く。願くは佛及び僧、我が請食を受けたまへ。我が新殿堂を造るに、未だ沙門・婆羅門、一切人民にんみんの坐する者あらず。願くは佛、先ず坐したまへ。然る後、王子坐せば、福を得ること無量ならんと。時に世尊、默然もくねんとして許可こかしたまふ。時に薩闍婆羅門の子、佛の許可を聞き已て、坐より起ち佛をめぐりて去り、菩提王子の所に還て、是くの如き言を白す、沙門瞿曇くどん、我れ已に白し竟り、默然として許可したまふ。今ま正に是れ時なりと。時に王子、即ち種種のじきを設けて夜過ぎ已る。明日、殿堂を掃灑して、き新たなきぬしき階陛かいへいより殿やしきに至る。時至て人をり、佛に白く。時に世尊、衣を著け鉢を持し、千二百五十の比丘僧とともに、菩提王子の家に詣りたまふ。時に王子、外門の裏に至て佛を迎ふ。遙かに佛の來りたまふを見、前んで頭面禮足し已り、佛の後に隨侍すること、順教の弟子の如し。世尊、王子の堂前に入り、默然として立ちたまふ。王子言く、願くは佛、きぬの上に在て行き、殿に上りたまへ。我をして福、安樂を得せしめたまへと。王子、第二・第三も是くの如く世尊に白す。世尊、默然たり。時に世尊、阿難あなん顧視こししたまふ。阿難、佛の新衣の上をんで行くことを欲したまはざるを知る。後の衆生しゅじょう利益りやくする爲の故なり。阿難、王子に語て言く、此の衣をおさむべし。如來、上に在て行くことを欲したまはず。後の衆生を利益する爲の故なりと。時に王子、疾疾しつしつに衣をしりぞき已て、佛に白して言く、願くは佛、殿に上り、我をして福を得えせしめたまへと。時に佛、即ち殿に上て座に就て坐したまふ。時に王子、佛及び僧に種種にして多くの飮食おんじきあたふ。食已て鉢を捨て、一つの小床を取て一面に在て坐す。時に世尊、種種に方便して王子の爲に説法し已り、坐より去て本の住處に還り、此の因縁を以て比丘僧を集めて告て言く、若し大價衣を地に布かば、上に在て行くべからず。若し行かば法の如く治すと。爾の時、比丘の房舍、塵土多し。佛言く、灑掃しゃそうすることを聽す。灑掃し已て故ほ復た塵有り。佛言く、泥漿でいしょうを以て汚灑することを聽す。若し故ほ塵有らば、伊梨延陀いりえんだ耄羅もうら耄耄羅毛もうもうらもう𣰽𣯫くる、十種衣の中、若しは一一の衣を以て地敷じふを作せと。

爾の時、世尊、舍衞しゃえ國に在しき。王波斯匿はしのく異母いも有て、佛の法を信樂しんぎょうす。王著る所の大價の錦衣を以て四方僧に施し、已て便ち命過みょうかす。時に比丘、用て地敷を作る。諸の不信樂の大臣有て、僧伽藍の中に至り觀看す。比丘の王著る所の大價の錦衣を以て地敷を作るを見、見已て皆共に譏嫌きげんして言く、沙門釋子、厭足えんそくを知らず。多くむさぼり遺餘ゆいよを畜へ、自ら我れ正法しょうぼうを知ると言ふ。是くの如きを觀るに之れ何くに正法か有る。王著る所の大價の衣を以て、用て地敷を作る。檀越、施すと雖も受者、當に足るを知るべしと。諸の比丘、佛に白す。佛言く、王著る所の大價衣を以て地敷を作るべからず。自今已去、用て臥褥がのく坐褥ざのくを作り、しんを作り、覆上衣ふじょうえを作ることを聽すと。

爾の時、比丘、裹頭かずして佛の所に至り白して言く、大徳、此れは是れ頭陀ずだ端嚴たんごんの法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、比丘、裹頭することを得ず。是れ白衣の法なり。若し裹頭せば法の如く治すと。時に諸の比丘、頭冷て痛む。佛に白く。佛言く、さい、若しは劫貝こうばいを以てくしかりを作り、裹頭することを聽すと。爾の時、比丘、誕陀盧多梨衣たんだるたりえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、是くの如く衣を著ることを得ず。僧伽藍内を除く。此れは是れ白衣の法なり。若し是くの如き衣を著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、一衣いちえを著、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、一衣を著くるべからず。大小便處だいしょうべんじょを除く。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、串頭衣けんずえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、此の衣を著くべからず。是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、あおを著て世尊の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くるべからず。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、皮衣ひえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、うわみを著て、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、はかまを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治す。爾の時、比丘、行縢ぎょうどうを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、蒲草ぶそうの行縢を著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ白衣の法なり。若し著くれば法の如く治すと。佛、比丘に語らく、汝癡人、我が制する所に隨て更た餘事を作す。是くの如きは一切白衣の法にして著くることを得ずと。時に諸の比丘、假に編髮へんほち螺髻らけちを作し、佛の所に來して白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、爾すべからず。此れは是れ外道げどうの法なり。若し是くの如く作せば法の如く治すと。爾の時、比丘有て木鉢もくはちを持し、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、是くの如き鉢を持すべからず。此れは是れ外道の法なり。若し畜ふれば法の如く治すと。爾の時、比丘、鉢樓はちる 三の奇杖をけ、地にして鉢を持し、中の上に置いて安ず。横に衆物を串して荷に肩て行く故に、鉢樓を名く を持して佛の所に往き白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、此れは是れ外道の法なり。持すべからず。若し畜ふれば法の如く治すと。爾の時、比丘、繍手衣しゅしゅえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ外道の法なり。若し畜ふれば法の如く治すと。爾の時、比丘、草衣そうえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ外道の法なり。若し著くれば法の如く治す。是くの如き衣、若しは草衣、裟婆草衣しゃばそうえ樹皮衣じゅひえ樹葉衣じゅようえ珠瓔珞衣しゅようらくえ、是くの如き一切の衣は畜ふることを得ず。若し畜ふれば法の如く治すと。爾の時、比丘、外道の皮衣を著て、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、鷲毛衣じゅもうえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ外道の法なり。若し畜ふれば法の如く治すと。爾の時、比丘、人髮にんほち欽婆羅衣こんばつらえを著け、佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ外道の法なり。若し著くれば偸蘭遮ちゅうらんじゃなり。爾の時、比丘、馬毛めもう𤛆牛尾りごびの欽婆羅衣を著け、佛の所に往て、佛に白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、著くべからず。此れは是れ外道の法なり。若し著くれば法の如く治すと。爾の時、比丘、露身ろしんにて佛の所に往て白して言く、此れは是れ頭陀、端嚴の法なり。願くは佛、聽したまへと。佛言く、爾すべからず。此れは是れ外道の法なり。若し露身せば偸蘭遮なりと。佛言く、是くの如き癡人、我が制する所に隨て復た餘事を作す。是くの如きは一切外道の法なり。作すべからずと。

爾の時、往處有り、現前僧げんぜんそう、大いに可分の衣物えもつを得。諸の比丘、云何せんか知らず。往て佛に白く。佛言く、分つことを聽すと。復た云何が分つかを知らず。佛言く、應に人の多少を數ふべし。若しは十人、若しは二十人、乃至百人ならば百分に爲せ。若し好惡有らば、當にあいまじへて分つべしと。彼れ便ち自ら分を取る。佛言く、自ら分を取るべからず。應にちゅうなげうちて分つべしと。彼れ便ち自ら籌を擲つ。佛言く、自ら籌を擲つべからず。應に不見の者をして籌を擲たせしむべしと。時に物を分つ時、客比丘きゃくびく有て來る。佛言く、應に分をあたふべし。分を作し竟て、客比丘有て來らば、應に分を與ふべし。未だ籌を擲たざる時、來らば、應に分を與ふべし。籌を擲つ時、來らば、應に分を與ふべし。籌を擲ち竟て來たらば、分を與へず。歡喜し分を受け已て、客比丘有て來らば、分を與へず。若し餘有て更に分ち、竟て來らば分を與ふべからず。若し已に沙彌に與へ、人をして分たしめ已て來らば、分を與ふべからず。比丘、衣を分つ時、客比丘有て、數數かずかず來り、衣を分ちて疲極ひごくせば、應に一人を差して分たしめ、白二びゃくに羯磨こんまして是くの如くに衆中に與ふべし。羯磨に堪能なる者をしゃし、上の如く、是くの如く白を作せ。大徳だいとこそう聽け、此の住處の若しは、若しは非衣ひえ、現前僧まさに分つべし。若し僧時到らば僧、忍聽にんちょうせよ。僧、某甲むこう比丘に與へ、彼れ當に僧に與ふべし。白すること是くの如し。大徳僧聽け、此の住處の若しは衣、若しは非衣、現前僧、應に僧に分つべし。今、某甲比丘に與ふ。彼の比丘、當に僧に與ふべし。誰か諸の長老ちょうろう、此の住處の若しは衣、若しは非衣、現前僧、應に分つべし。僧、某甲比丘に與ふ。彼の某甲、當に僧に與ふべきを忍ずる者は默然せよ。誰か忍せざる者は説け。僧已に、某甲比丘に與へ、彼の某甲、當に僧に與ふべきことを忍し竟ぬ。僧、忍して默然するが故に。是の事、是くの如く持すと。

爾の時、比丘、婆輸伽衣ばすぎゃえを得。佛に白く。佛言く、畜ふることを聽すと。諸の比丘、さむきわずらふ。佛に白く。佛言く、複貯衣ふくちょえを著ることを聽すと。爾の時、異住處有て一比丘住す。時に現前僧、大いに可分の衣を得。諸の比丘、云何せんかを知らず。佛に白く。佛言く、若し比丘、住處に一比丘有て住し、大いに現前僧、可分の衣を得、若しは客比丘有て來り、若しは四人、若しは四人を過ぎれば、應に衣を持て一比丘に與へ、白二羯磨にして分たしむべし。若し三人有れば、應に彼此ひし共に三語さんごして受け、共に分つべし。若し二人ならば、共に三語して受け、共に分かて。若し一人ならば、應に心念しんねん口言くごんすべし、此れは是れ我が分なりと。爾の時、住處有て、比丘有り、比丘想びくそう有り、別部べちぶに衣を分たんと欲す。諸の比丘、ぶんじょうずるや分を成ぜざるやを知らず。佛に白く。佛言く、分を成ぜず。突吉羅とっきらを得と。爾の時、住處有て、比丘有り、別部をうたがいて衣を分つ。諸の比丘、分を成ぜるや分を成ぜざるやを知らず。佛に白く。佛言く、分を成ぜす。突吉羅を得と。爾の時、住處有て、比丘有り、無比丘想を作し、別部に衣を分つ。比丘、分を成ぜるや分を成ぜざるやを知らず。佛に白く。佛言く、分を成ぜず。不犯ふぼんなりと。爾の時、住處有て、比丘無く、比丘想有て衣を分つ。諸の比丘、分を成ぜるや分を成ぜざるやを知らず。佛に白く。佛言く、分を成ず。突吉羅を得と。爾の時、住處有て、比丘無く、疑有て衣を分つ。分を成ぜるや分を成ぜざるやを知らず。佛に白く。佛言く、分を成ず。突吉羅を得と。爾の時、住處に比丘無く、比丘想無く、衣を分つ。諸の比丘、分を成ぜるや分を成ぜざるやを知らず。佛に白く。佛言く、分衣を成ず。無犯むぼんなりと。爾の時、住處有て、比丘有り、比丘想有て、別部に衣を受く。諸の比丘、受衣を成ぜるや不やを知らず。佛に白く。佛言く、受衣を成ぜず。突吉羅を得と。爾の時、住處有て、比丘有り、別部を疑て衣を受く。諸の比丘、佛に白く。佛言く、受を成ぜず。突吉羅を得と。爾の時、住處有て、比丘有り、比丘想無く、別部に衣を受く。諸の比丘、受を成ぜるや不やを知らず。佛に白く。佛言く、受を成ぜず。不犯なりと。爾の時、住處有て、比丘無く、比丘想有て、衣を受く。諸の比丘、受を成ぜるや不やを知らず。佛に白く。佛言く、受を成ず。突吉羅を得と。爾の時、住處有て、比丘無く、疑て衣を受く。諸の比丘、受衣を成ぜるや不やを知らず。佛に白く。佛言く、受を成ず。突吉羅を得。爾の時、住處有て、比丘無く、比丘想無く、衣を受く。諸の比丘、受を成ぜるや不やを知らず。佛に白く。佛言く、受を成ず。無犯なりと。

四分律卷第四十

脚註

  1. 臥具がぐ

    寝具。
    支那の南山律宗祖、道宣は仏典における「臥具」とは衣(沙門衣・三衣)の別称の一つであると理解していたが、この一節では明らかに僧伽梨(三衣の一)とは別物として挙げられている。義浄は道宣によるそのような理解が誤りであることを批判し、臥具はあくまで臥具であって沙門衣とは異なるとする。日本の近世に戒律復興運動が高まり、袈裟衣への研究が盛んになった際にもこの問題は取り上げられ、道宣の見解を是とする者と非とする者があって様々に論じられている。

  2. 餘物よもつ貿易むやく

    ここで貿易とは物物交換、あるいは或る物を換金した後に他の物を購入することの意。僧伽あるいは沙門一個人に施与された何か物品を、市場あるいは人を通して、他の物に交換すること。ここでは施与された僧伽梨を臥具に交換すること。

  3. しゅ僧伽藍そうがらんにん

    僧伽藍は[S] saṃghārāma(僧伽藍摩)の略。saṃgha(僧伽)+ārāma(園・林)=僧園の意で、vihāra(精舎)の類語。最初期の仏教の沙門の生活は「常樹下坐臥」といい、一定の住所を持たず大樹の下などで寝泊まりして遊行することを原則としていた(四依法の一)。しかし、ほどなくして仏陀のもとに出家する者が多く出ると、中北印度各地の裕福な在家信者がその土地を寄進し、またそこに僧院を建築するようになり、それが僧伽藍(精舎)となった。そこでそれら僧園内に生活しながら維持管理し、また比丘らが律に規定に違反するため出来ないことを代わりに行ってその生活の助けをなす在家人の存在が必要となったが、それが守僧伽藍人。一般に淨人または近住といわれる存在、日本で言うところの寺男に同じ。

  4. 沙彌しゃみ

    [S] Śrāmaṇera / [P] Sāmaṇera. 弟子、生徒の意。仏教における見習い出家者。勤策男または求寂、息慈と漢訳される。詳細は別項「沙弥」を参照のこと。

  5. 跋提ばっだい

    未詳。

  6. 芻摩衣しゅまえ

    既出。亜麻の衣。

  7. 羅睺多衣らこうたえ

    未詳。漢訳仏典にて他に用例の無い語。

  8. 阿哆睺多衣あしゃこうたえ

    未詳。漢訳仏典にて他に用例の無い語。
    『四分律名義標釈』にも「阿哆睺多衣。頗那陀施衣。此二種衣。是彼國物。此方無。故不翻也」と不明とする。

  9. 上色じょうしき染衣ぜんえ

    青・赤・黄・黒・白の五正色(純色)いずれかにて染められた衣。沙門衣として忌避すべき、禁止された色の衣。

  10. 上色の錦衣きんえ

    五正色の何等か文様が織り込まれた衣。ここで「上色の」と限定されているかに思われようが、後の一節にて「錦衣」自体が禁じられているように、沙門衣として何等か意匠が凝らされ、模様のあるものは用いてはならない。

  11. 白衣びゃくえは法として畜ふべからず

    白は在家を象徴する色であり、白色の衣は出家の衣として全く相応しくない。
    しかしながら、日本では律儀の廃れだした古代末頃(平安中後期)から僧衣の下着として白い内衣(いわゆる白衣はくえ)・襦袢を用いる風俗が存し、これを僧界において問題視する声が上がったことはおそらく無かったであろう。実際、中世に勃興した覚盛および叡尊による戒律復興運動の中でもその様な問題意識が生じたことは寡聞にして聞かず、また彼らの肖像画や木像などでも白衣が内に着られていることを確認することが出来る。ところが、近世最初期、特に叡尊の先蹤を範とした戒律復興運動が生じると、やはり沙門の装束を修正すべきとする意識が高まって、その研究が再び起こった際には事情が異なる。沙門はたとえ下着としても白衣を着るべきでないとする問題意識が生じたのでる。彼らは白衣でなく泥色(鼠色)の衣を下着として用いるべきとするようになったのである。これはむしろ律宗よりも真言や天台、そして臨済宗において興律を志した者に見られた傾向であったと思われる。
    律の規定に依り、出家者としての外面的「あるべきよう」を望むのであれば、そのような意識・態度は、遅まきながらも仏教者としてむしろ当然というべきものであった。

  12. 不截ふぜち鬚衣すえ

    「鬚」はひげあるいはふさ。具体的にいかなる物をいったのか不明であるが、字義からすれば「割截でない飾り房の付いた衣」ということであろう。

  13. 頗那陀施衣はなだせえ

    未詳。漢訳仏典にて他に用例の無い語。『四分律名義標釈』にも「阿哆睺多衣。頗那陀施衣。此二種衣。是彼國物。此方無。故不翻也」と不明とする。

  14. 波羅捺ばらな

    [S/P] Bārāṇasī. 古代印度はガンジス川中流域に存した大国の一つ、[S] Kāśīの首都。

  15. 案行あんぎょう

    調べ歩くこと。巡察。

  16. ちょう

    穴や裂けを補修するための布。

  17. 糞掃衣ふんぞうえこころに隨て多少の數を...

    檀越施衣(居士衣)でなく、棄てられた故布(糞掃衣)を袈裟衣とした場合は重数に上限は設けられず、場合に応じて幾重となく帖をもって補修しても良いこと。

  18. 曠野こうや

    未詳。

  19. 善顯現衣ぜんけんげんえ

    漢訳仏典にて他に用例の無い語であるが、漢語の字義からすれば「非常に見た目の良い衣」という程の意であろう。その受得が許されていることからすれば、たとえ見かけ上は高級あるいは艶やかに見える布であっても、無紋であり袈裟色であるなど律における衣の規定にそぐうものであれば、それを沙門衣として用いてよいとされていたことが知られよう。

  20. 蚊厨もんちゅう

    蚊帳かや

  21. 跋耆ばっぎ

    [S] Vatsa / [P] Vaṃsa ([S] Bharga / [P] Bhaggā). 古代印度に存した国の一つ。

  22. 失守摩羅山ししゅまらせん

    [S] Śuśumāragiri / [P] Suṃsumāragiri. 跋耆国のおそらくは都であった都市。
    『四分律名義標釈』には「此譯為鰐魚山。魚形如象。有四足。似鼉。故中阿含。翻為鼉山。淨法師譯云。江猪山。雜阿含云。䟦祇聚落。失收摩羅山。恐怖稠林。禽獸住處」とする。

  23. 恐畏林くいりん

    [P] Bhesakalāvana. ベーサカラー(Bhesakalā)という名の女夜叉が住まう林(vana)。

  24. 鹿野苑ろくやおん

    [P] Migadāya. 釈尊が初転法輪されたVārāṇasī(波羅捺)のそれとはまた異なる、恐畏林内にあった鹿の住まう園林。

  25. 菩提ぼだい王子

    [S/P] Bodhi. 跋耆国の王Udayanaの息子。

  26. 薩闍さじゃ婆羅門

    跋耆国の家臣を務めていた婆羅門であろうが未詳。
    『四分律名義標釈』には「十誦云。薩若瞿妒路摩牢。按薩闍音。此翻可治。或云薩瀉。此翻為種。又薩若。此翻云還生。此皆梵音相近。未能詳正也」とする。

  27. 問訊もんじん

    相手の健康、安否などを気遣い、丁重に尋ねること。喜ばしい挨拶を交わすこと。

  28. 瞿曇くどん

    [S] Gautama / [P] Gotama. 釈尊の本姓。

  29. 衆生しゅじょう

    [S] sattva / [P] satta. 存在、特に意識・生命を有するもの。生けるもの。ここでは特に人一般の意。

  30. 灑掃しゃそう

    洗い清めること。

  31. 泥漿でいしょう

    粘土を水で溶いて粘性をもたせたもの。汚損した床(土)の上に塗り広げて固めると、その表面が光沢あり滑らかなものとなる。現代の印度における村落においてもまま見られる。

  32. 地敷じふ

    いわゆるゴザの類。敷物、絨毯。

  33. 舍衞しゃえ

    既出。[S/P] Kosala(憍薩羅)の首都。

  34. 波斯匿はしのく

    既出。コーサラ国のパセーナディ王。

  35. 命過みょうか

    死去、死ぬこと。

  36. 譏嫌きげん

    嫌悪し批判すること。
    律として定められた学処の多くには、仏在世当時の世人からしてその社会通念・社会常識に反すること、あるいは出家修行者として相応しくないと考えることを、仏教者がなしていることに対して嫌悪し、批判したことに由って定められたものがある。これを漢語で「息世譏嫌戒そくせきげんかい」という。経済的には全面的に俗社会に依存する僧伽は社会からの信頼を失っては存在し得ず、したがって極力社会から批判される行為をなさぬ必要があったための措置であった。

  37. 厭足えんそく

    もう充分であると、それ以上求めないこと。満足、知足に同じ。

  38. 臥褥がのく

    寝床に敷く敷物。

  39. 坐褥ざのく

    座所に敷く敷物。

  40. 覆上衣ふじょうえ

    いわゆる掛け布団の類。

  41. 裹頭かず

    頭を覆い隠すこと。漢音では「かとう」。

  42. 頭陀ずだ

    [S/P] dhūta (dhuta). 払い落とす、かき混ぜる、取り除くの意。転じて煩悩を取り除くためなされる、仏教の立場からして少欲知足を極限まで突き詰めた、しかし理不尽な苦行とは峻別される、質素最低限の物品・行為で生活することを示す語となった。斗擻とそうと漢訳される。
    具体的にその行に十二(分別説部にては十三)を数える。すなわち処五(①蘭若・②塚間・③樹下・④露坐・⑤随坐)、衣二(⑥糞衣・⑦但三衣)、食四(⑧乞食・⑨一揣・⑩一坐・⑪不作余食法)、威儀一(⑫常坐不臥)の十二。

  43. さい

    けば。柔らかい毛。

  44. 誕陀盧多梨衣たんだるたりえ

    未詳。

  45. 一衣いちえ

    一衣とは腰巻き(安陀会もしくは涅槃僧)のみであろう。
    現代の印度にても、常に下半身のみ衣をまとって上半身を露わとすることを良しとする苦行者を未だ目にすることが出来るがその類。

  46. 串頭衣けんずえ

    大きな布の中央部に穴を開けたもので、その穴に頭を通し被って着る衣であろう。いわゆるポンチョの類。
    『四分律名義標釈』には「串。樞絹切。音釧。穿也。貫也」とする。

  47. あお

    本邦では脇を縫い合わせず、腰下の「襴(すそ)」を付けない衣を言うが、印度のそれとはもちろん同一ではないであろうことから未詳。
    『四分律名義標釈』には「襖。烏考切。奧上聲。是裘屬。又袍襖也」とする。

  48. 皮衣ひえ

    何等か動物の皮革でつくられた衣。

  49. うわみ

    本邦では下半身にまとう裳の一種を言うが、印度のそれと同一とは考えがたく、未詳。
    『四分律名義標釈』には「褶。徒協切。音疊。謂大袖衣也。釋名云。褶襲也。言衣之在上者。王藻云。帛為褶。注曰。有表裏。而無絮。今裌衣也」とする。

  50. はかま

    左右の脚を入れる部分の別れた下半身に纏う衣。いわゆるズボン、パンツに類するもの。
    『四分律名義標釈』には「袴。同絝。苦故切。音庫。股衣也。今之裩襠袴也」とする。

  51. 行縢ぎょうどう

    膝下から足首あたりに巻き付ける布。いわゆる脚絆の類。
    『四分律名義標釈』には「徒登切。音騰。亦名行纏。謂纏束其脛。自足至膝。即小雅[A1]采菽篇。邪幅是也。釋名云。言以裹脚。可跳騰輕便也。毗尼母論云。不聽畜草行纏。除因緣」とする。

  52. 編髮へんほち

    髪を剃らず伸ばして編むこと。そもそも仏教の沙門はすべからく髪髭は剃らなければならない。伸ばし得る長さの限度は二指(約4.2cm)、あるいは二ヶ月に一度は必ず剃るべきものとされる。
    『四分律』巻五十一「自今已去。應鬚髮盡剃。彼比丘不知髮長2幾許應剃。佛言。極長長兩指。若二月一剃。此是極長」(T22, p.946a)

  53. 螺髻らけち

    伸ばした髪を巻き上げ頭頂部で法螺貝の形のようにまとめた髪型。現代の印度における行者にも未だよく見られる。

  54. 外道げどう

    [S] anya-tīrthya, para-pravādin. 仏教外の思想家・宗教家。

  55. 木鉢もくはち

    木製の鉢は外道の用いるものとされ、沙門の使用する鉢としては禁制品。したがって現今の禅宗で用いられる漆塗りの鉢は外道の習いに基づく非法。また、石鉢は如來が特に用いるものとされ、同じく沙門の使用は禁じられる。
    『四分律』巻五十二「爾時世尊在王舍城。時王瓶沙。聽諸比丘入出宮閤無有疑難。時王安人著屏處聽。若比丘有所言説便來語我。彼重宮閤以貴價尸賖婆材爲柱。諸比丘見已作如是言。乃以此貴價材作柱也。爲諸比丘作鉢者不亦佳乎。時彼屏處人聞已。即往白王。王即勅人。更作新柱。以易取持作鉢。施與諸比丘。諸比丘不受言。佛未聽我等畜尸賖婆木鉢。時諸比丘白佛。佛言。不應畜木鉢。此是外道法。若畜如法治。時瓶沙王。以石鉢施諸比丘。諸比丘不受言。佛未聽我等畜石鉢白佛。佛言不應畜。此是如來法鉢。若畜得偸蘭遮」(T22, p.951c)

  56. 鉢樓はちる

    当時、婆羅門の習いとして遊行時に三本の杖(tridaṇḍa)を持つべきことがManusmṛti(『マヌ法典』)に云われていることから、これは前述の編髮や螺髻と同様、婆羅門の習慣を沙門の法として持ち込もうとする者があったのであろう。ここでいう鉢樓がいかなるものか具体的にはわからぬが、おそらくは以下の図のような三本の杖を肩に担い、そこに鉢袋を掛けて持ち運ぶことを言ったものと思われる。

  57. 繍手衣しゅしゅえ

    その実物がいかなるものか未詳であるが、訳語の字義からすれば、何等か文様を縫い込んだ華美な衣であったろうと思われる。

  58. 草衣そうえ

    [S] kuśa-cīvara / [P] kusa-cīvara. 稲藁あるいは麦藁など、なんらか草を編んで作った衣。

  59. 裟婆草衣しゃばそうえ

    未詳。漢訳仏典にて他に用例の無い語。いずれにせよ草で編んだ衣であろう。

  60. 樹皮衣じゅひえ

    なんらか樹皮を編んで作った衣。他の仏典にて婆羅門が着用していたものとして頻出することから、当時の婆羅門らが好んで着用していた衣であろう。

  61. 樹葉衣じゅようえ

    なんらか樹葉を編んで作った衣。上に同じく、婆羅門らの習いとして着用された衣であろう。

  62. 珠瓔珞衣しゅようらくえ

    珠など瓔珞で飾られた衣。

  63. 鷲毛衣じゅもうえ

    多くの鷲羽を結び作った衣。
    『四分律名義標釈』には「疾救切。音袖。大鵰也。說文云。黑色多子。梵云姞栗陀。此云鷲。或曰揭羅闍。此云鵰鷲。師曠云。南山有鳥。名曰羗鷲。黃頭亦咽。五色皆備。西域多有此鳥。蒼黃目赤。以死屍為食」とする。

  64. 人髮にんほち欽婆羅衣こんばつらえ

    人の毛髪を編んでつくった衣。欽婆羅([S/P] kambala)は毛織物の意。

  65. 偸蘭遮ちゅうらんじゃ

    [S] sthūlātyaya / [P] thullaccaya. 重罪、あるいは波羅夷もしくは僧残の非常に重い罪の未遂に対する称。麁罪と漢訳される。
    その他の素材と異なり、人毛など常軌を逸した素材の衣を好んで着る者はより重い罪が適用された。

  66. 𤛆牛尾りごび

    𤛆牛は非常に長い毛を持つ牛、いわゆるヤク。
    『四分律名義標釈』には「鄰溪切。音離。又謨交切。音茅。郭璞曰。𤛆牛黑色。出西南徼外。亦作氂。斄。又云。牛曰。斄。尾曰氂。尾可以為旌旄」とする。

  67. 露身ろしん

    裸身。ジャイナ教の出家者は無所有を徹底するため全身裸であった。後に白衣のみを纏う一派が現れこれを白衣派といい、前者は裸行派あるいは空衣派という。婆羅門の習慣だけでなく、当時勃興していた他の沙門の習慣を仏教に持ち込もうとする者の存在があったのであろう。

  68. 客比丘きゃくびく

    ある地区・地域の現前僧伽(精舎・阿蘭若)に属しない、他の地から旅してきた、あるいは移ってきたきた比丘。

  69. 白二びゃくに羯磨こんま

    [S] jñaptidvitīyā karma / [P] ñatti-dutiya-kamma. 僧伽における議決方法の一。ある議題が提議(jñapti / 白)されたことに対し、その可否を問う言葉を一度のみ発すること。もし賛成であれば沈黙をもって応え、反対であれば反意を言葉によって示す。もし一人でも反対する者があればその議題は棄却される。
    羯磨は[S] karmaあるいは[P] kammaの音写で行為の意。この場合、僧伽における議決という行為を意味し、日本の南都ではこれを「こんま」と独特に訓じる。

  70. 忍聽にんちょう

    承認。認(=忍)めて許(=聴)すこと。

  71. 長老ちょうろう

    [S] āyuṣmat, sthavira / [P] āyusmant, thera. 具寿とも。具足戒を受けて比丘と成ってから二十年を経た、あるいはその弟子の法臈が十年を経た、学徳・行徳ある比丘。

  72. 婆輸伽衣ばすぎゃえ

    未詳。漢訳仏典にて他に用例の無い語。
    『四分律名義標釈』にも「此方不得其名也」とあって不明とする。

  73. 複貯衣ふくちょえ

    未詳。字義からすると、二枚袷で中に綿などいれた衣か。あるいは『南海寄帰内法伝』にて義浄の云う「立播之服」に同じか。義浄は「立播者。譯為裹腹衣」とこれを説明しているが、実物が伝えられていないため不明。ひょっとすると西蔵における僧服にこれを伝える物が今もあるかもしれない。
    『四分律名義標釈』には「複。方六切。音福。重也。說文云。重衣也。一曰褚衣。以綿絮裝衣。曰褚音杵。貯積也。應作紵音主。亦綿絮裝衣也。母經云。雨雪寒凍處。聽著駒執。復聽著複衣。若用羊毛駱駝毛。乃至綿紵之聽著。僧祇律。三衣亦聽絮。按根本部。於寒雪處。佛許著立播。若其暖地。即不許服。內法傳云。然聖開立播之服。通被寒卿。斯乃足得養身。亦復何成妨道。梵云。立播者。譯為裹腹衣。其所製儀。略陳形樣。即是去其正背。直取偏袒一邊。不應著袖。唯須一幅。纔穿得手。肩袖不寬。著在左邊。無宜濶大。右邊交帶。勿使風侵。多貯綿絮。事須厚煖。亦有右邊刺合。貫頭紐腋。斯其本制。目驗西方。有胡地僧來。多見攜著。那爛陀處。不覩斯衣。良由國熱。人咸不用。準斯開意。直為塞卿。考其偏袒正背。元是踵斯而作。剩加右畔。失本威儀。非制自為。定招越法。至如立播抱腹。自免嚴寒。厚帔通披。足遮隆凍。形像之處。禮佛對尊。露膊是恒。掩便獲罪。然則出家省事。冬月居房。炭火隨時。詎勞多服。必有病緣。要須著者。臨時處斷。勿使乖儀。然而東夏寒嚴。劈裂身體。若不煗服。交見羸亡。既為難緣。理須弘濟。方裙偏袒。形簡俗流。準立播衣。寒冬暫著。知非本制。為命權開。如車置油。內生慚厚。必其不著。極是佳事。自餘袍。袴。襌衫之類。咸悉決須遮斷。嚴寒既謝。即是不合擐身。而復更著偏衫。實非開限云云」とする。

  74. 三語さんご

    三度、同じ文句を繰り返すこと。ここでの場合は「此れは是れ我が分なり」と自らが分受される衣の所有権を三度宣言すること。

  75. 心念しんねん口言くごん

    心念は、語るべき相手がいない場合に自ら心のなかで特定の文句を言う事。口言は文字通り(宣言すべき相手はなくとも)口に出して言う事。

  76. 比丘想びくそう

    相手が比丘であるとの認識。

  77. 別部べちぶ

    特に『四分律』にまま見られ、『十誦律』および「有部律」に若干出る語。客比丘とは別に扱われていることから、おそらく一味和合すべき僧伽がなんらかの理由で別れて形成された、他の部というべき僧伽の意であろう。
    一般に律蔵には別の部派に所属する比丘やその処遇問題は(それが仏滅後に形成されたものであることから言えば当然というべきことであるが)扱われていないとされている。そこでこれをいわゆる部派を言ったものであるとは即断し難いが、しかしよく注目すべき語。

  78. ぶんじょうずる

    分配が正当なものであること。

  79. 突吉羅とっきら

    [S] duṣkṛta / [P] dukkaṭa. 律の学処(比丘律儀・比丘尼律儀)において最も軽微な罪。悪作・軽垢罪と漢訳される。

  80. 不犯ふぼん

    ここでは、衣の分配は正当なものでなく分配してはならないけれども、その行為自体は律の規定からしては罪とならない、との意。

  81. 無犯むぼん

    衣の分配は正当なものであって、その行為もなんら問題となるものでないこと。

僧服関連文献