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Dharmacakra
智慧之大海 ―去聖の為に絶学を継ぐ

『四分律』 衣揵度

原文

爾時佛在舍衞國。不就請食。諸佛常法。若不就請。在後按行諸房。按行諸房時。見有異處有比丘病。無有瞻視供養人臥大小便中。見已詣比丘所。知而故問比丘。汝何故臥大小便中。有瞻視供養人不。答言無。世尊復問。何故無。答言。我無病時不看他病。是故今病無人瞻視供養者。佛言。汝不瞻視不供養病人。無利無所得。汝曹比丘不相看視。誰當應看病者。時世尊即扶病比丘起。拭身不淨。拭已洗之。洗已復爲浣衣晒乾。有故壞臥草棄之。掃除住處。以泥漿塗灑。極令清淨。更敷新草并敷一衣。還安臥病比丘已。復以一衣覆上捨去。爾時世尊食已。以此因縁集比丘僧。以向者不就請。在後行房所。見病比丘自料理事。具告諸比丘已。汝曹比丘自今已去。應看病比丘。不應不看。應作瞻病人。不應不作瞻病人。若有欲供養我者。當供養病人。聽彼比丘和尚若同和尚阿闍梨若同阿闍梨若弟子應瞻視。若都無有人看。衆僧應與瞻病人。若不肯者。應次第差。若次第差不肯如法治。若無比丘。比丘尼隨所可作應作。不應觸比丘。若無比丘尼。式叉摩那隨所可作應作。不應觸比丘。若無式叉摩那。沙彌應作。若無沙彌。沙彌尼隨所可作應作。不應觸比丘。若無沙彌尼。優婆塞應作。若無優婆塞。優婆私隨所可作應作。不應觸比丘。病人有五事難看。所不應食而欲食不肯服藥。看病人有至心而不如實語。應行不行應住不住。身有苦痛不能堪忍。身少有堪能而不作仰他作。病者有如是五事難。看病人有五法易看。不應食者不食喜服藥。如實語瞻病者。應行便行不應行不行應住便住。身有苦痛能忍。身少有能作便作病人有如是五事易看。病人復有五法難看。四事如上。第五事不能靜坐止息内心。有此五事難看。病人有五事易看。四事如上。第五能靜坐止息内心。病人有如是五事易看。爾時有比丘。在拘薩羅國道路行。至一小住處。見有病比丘。無有瞻視者。臥大小便中。彼作如是念。世尊有教。應看病人。不應不看。應作瞻病人。不應不作瞻病人。應供養病人。不應不供養病人。其有供養病人。是爲供養我。彼即便瞻病人。病者死。爾時比丘。持亡者衣鉢。往舍衞國祇桓精舍中。往佛所頭面禮足。以此因縁具白世尊。世尊言。善哉善哉。比丘。汝乃能瞻視病比丘。正應供養病比丘。作瞻病比丘人。供養病比丘。是爲供養我。彼持亡比丘衣鉢坐具針筒來。此住處現前僧應分。爾時世尊告諸比丘。持亡比丘衣鉢坐具針筒與瞻病者。應作白二羯磨如是與。時瞻病人。應至僧中偏露右肩脱革屣禮僧足。白如是。大徳僧聽。某甲比丘。彼住處命過。衣鉢坐具針筒盛衣貯器。此住處現前僧應分。如是第二第三説。僧中當差堪能作羯磨者。若上座若次座。若誦律若不誦律。堪能作羯磨者作如是白。大徳僧聽。某甲比丘命過。所有衣鉢坐具針筒盛衣貯器。此住處現前僧應分。若僧時到僧忍聽。與某甲看病比丘白如是。大徳僧聽。某甲比丘命過。所有衣鉢坐具針筒盛衣貯器。此住處現前僧應分。僧今與某甲看病比丘。誰諸長老忍。與某甲看病比丘衣鉢坐具針筒盛衣貯器者默然。誰不忍者説。僧已忍。與某甲看病比丘衣鉢坐具針筒盛衣貯器竟。僧忍默然故。是事如是持若僧中羯磨。差一人令分亡者衣物羯磨。與此無異。唯益一句言。僧與某甲比丘衣。某甲比丘當還。與僧白如是

爾時舍衞國。有多知識比丘死。彼有多三衣。諸比丘不知。以何者與瞻病人。諸比丘白佛。佛言。聽彼亡者常所侍者與。佛聽與瞻病者衣。時有比丘小小瞻病。或一扶起。或一扶臥。或一與楊枝水。便取彼衣鉢。佛言。不應如是小小瞻病便取彼衣鉢。有五法看病人不應取病人衣物。何等五。一不知病者可食不可食。可食而不與。不可食而與。二惡賤病人大小便唾吐。三無有慈愍心爲衣食故。四不能爲病人經理湯藥乃至差若死。五不能爲病人説法令病者歡喜。己身於善法損減。有如是五法。不應取病人衣物。有五法應與看病人衣物。何等五。一知病人可食不可食。可食能與。二者不惡賤病人大小便唾吐。三者有慈愍心不爲衣食。四者能經理湯藥乃至差若死。五者能爲病人説法。令病者歡喜。己身於善法増益。有如是五法。應取病人衣物。若病人臨欲終時。有如是言。我此衆物。與佛與法。若與僧。若與塔。若與人。若我終後與。若不死還我。佛言。不應如是與。應現前僧分。彼病比丘作如是念。我當受不好三衣。恐瞻病者取去。佛言不應作如是念。我受不好三衣。恐瞻病者取去。應受好者。時病人捉衣鉢送著餘處。恐瞻病人取。後病差無所著。諸比丘白佛。佛言。不應作如是意。送衣餘處。恐瞻病者得。

爾時舍衞國有多知識比丘命過。彼比丘多三衣。諸比丘不知持何等衣與瞻病比丘。比丘白佛。佛言。應看此瞻病人云何。若能極上瞻病。應與上三衣。若中與中三衣。若下與下三衣。

爾時舍衞國有負債比丘命過。諸比丘不知誰當償白佛。佛言。聽持長衣償。若無物賣三衣與。有餘與瞻病人。聽瞻病人問病比丘。何者是三衣。何者是長衣。汝負誰。誰負汝。汝應與誰。若不問如法治。時有病比丘。身患瘡汚衣臥具。佛言。聽畜覆身衣。或有衣毛結𦶇著瘡。或時患痛佛言。聽取大價好衣覆身著内外著涅槃僧。若至白衣舍。應語言。我患瘡。若白衣言無苦但坐。應褰涅槃僧坐。爾時比丘患下脱痔病。以麁木作籌草患痛。佛言。聽以毳若劫貝若鳥毛故衣物拭之。用竟擧置不浣。諸比丘見便汚賤白佛。佛言。不應用竟擧置不浣應浣。彼浣已不絞去水爛壞虫生。佛言。應絞去水晒令乾。時有病比丘。身患瘡汚衣臥具。白佛。佛言。聽畜覆瘡衣。若自無衣。聽僧中取衣作。作已彼比丘不敢移此住處。覆瘡衣著餘處。白佛。佛言聽移。比丘後瘡差。不持還本處白佛。佛言。若差應浣染治還本處。若不還如法治。

爾時六群比丘作帳。諸白衣見皆共譏嫌。沙門釋子。無有止足不知慚愧。自言我知正法。如是何有正法。猶如國王大臣。諸比丘白佛。佛言。不應作帳。時有比丘。在露處大小便露形。諸比丘白佛。佛言。聽以草若樹葉若樹枝伊梨延陀耄羅耄耄羅若氍氀作覆障。爾時六群比丘作幰。時諸白衣見皆共譏嫌言。沙門釋子。無有止足不知慚愧。自言我知正法。如是何有正法。猶如國王大臣。諸比丘白佛。佛言不應作幰。時諸比丘道行患熱。白佛。佛言。聽以草若葉十種衣中若一一衣作覆障。爾時衆僧得複衣。佛言聽畜。

時比丘不知持三衣。佛言。應受持。若疑應捨已更受若有三衣不受持突吉羅。佛如是語。應受持三衣。彼受小小衣當三衣。若拭身巾若拭面巾臥氈白佛。佛言。不應持如是小小衣當三衣。佛言。聽以長四肘廣二肘衣作安陀會。廣三肘長五肘作欝多羅僧僧伽梨亦如是。時諸比丘衣壞。佛言。聽補治。彼不知云何補治。佛言。聽著納衣重綖編邊隨孔大小方圓補。

時諸比丘不著割截衣入聚落。白衣見已皆譏嫌言。沙門釋子。無有止足不知慚愧。自言我知正法。如是何有正法。不著割截衣入聚落。猶如外道。諸比丘白佛。佛言。不應不著割截衣入聚落。有五事因縁。留僧伽梨若疑恐怖。若雨若疑雨。若作僧伽梨未成。若浣若染。若壞色若堅擧。有如是五事因縁。留僧伽梨。爾時比丘。反著僧伽梨入聚落。餘比丘見不喜白佛。佛言。不應反著衣入聚落。比丘畏愼。不敢聚落外反著衣。風塵日曝虫鳥汚穢。諸比丘白佛。佛言。聽聚落外反著衣。爾時比丘。得縵衣廣長足。即裁割作衣。少欲作帖葉衣白佛。佛言聽作。爾時比丘。得縵衣廣長足。欲作五納衣白佛。佛言聽作。時諸比丘衣犯捨白佛。佛言聽捨。若於僧中若衆多人若一人。應捨然後淨施。不應不捨。應捨然後遣。不應不捨而遣。彼比丘不捨。便受用作三衣。作波利迦羅衣。故壞故燒用作非衣。若數數著。若不捨不應受用。作三衣波利迦羅衣。故壞故燒。用作非衣。若數數著。諸比丘作如是念。波利迦羅不現在前。得尼薩耆不。佛言不犯。彼不捨衣便著白佛。佛言不應不捨便著。彼比丘疑。不敢以捨墮衣與人。用作被衣。白佛。佛言。聽與人聽作被衣。時比丘畏愼燒衣奪衣漂衣。不敢著白佛。佛言聽著。時比丘不捨衣。便與他貿易白佛。佛言。不應不捨衣。應捨然後貿易。諸比丘如是念。衆僧衣過十日犯捨墮不白佛。佛言不犯。時比丘淨施衣不還主犯突吉羅。若遮不與者突吉羅。時諸比丘不染衣不壞色便寄白衣舍。白衣取著白佛。佛言。不應不染及壞色便寄白衣舍。應染壞色作沙門衣然後寄白衣舍。

爾時比丘得上狹下廣衣。受用作僧祇支白佛。佛言聽作。

爾時異住處現前僧。大得可分衣物。六群比丘出界外共分。諸比丘白佛。佛言。不應出界外分。時有長老比丘多知識人間遊行。大得現前僧應分衣物。難分彼畏愼佛不聽出界外分衣。諸比丘以此事白佛。佛言應如是唱令言來向某甲。某甲處分衣。若可分衣應分。彼不知何時分。應作相若量時量影。若作煙。若吹貝。若打鼓。若打揵槌。若白時至。若自來。若遣人來。應與分。

彼諸比丘轉易臥具。佛言不應移易。或有房多臥具。或有房少臥具。佛言。自今已去。聽舊住人若摩摩帝若經營人若次得房者應問然後移轉。彼比丘移臥具已。去時不還復本處。餘比丘復用。佛言。應復臥具著本處而去。若不者當如法治。時房舍崩壞。諸比丘畏愼。不敢移轉臥具。佛有如是言。不應移轉臥具。諸比丘白佛。佛言。若房舍崩壞。應移轉臥具。彼移轉臥具著餘房。餘房不敢臥便爛壞白佛。佛言。應用臥時。佛聽用臥。諸比丘便不洗脚不拭脚。用作襯體衣。諸比丘白佛。佛言不應不洗脚不拭脚。用作襯體衣佛既不聽作襯體衣。諸比丘畏愼。不敢手脚近。諸比丘白佛。佛言。從腋至膝不應襯體。時諸白衣。施比丘襯體衣。比丘畏愼不敢受白佛。佛言。應隨檀越施衣應受。彼壞房舍已治。不還復臥具。比丘白佛。佛言。若房舍已治。應還復臥具。若不復者應如法治彼諸比丘從此住處移定臥具至彼處白佛。佛言。不應移此住處定臥具至彼處。有國土人民反亂恐怖住處亦壞彼畏愼不敢移臥具。佛不聽移此住處定臥具至彼處。諸比丘白佛。佛言。若有如是事聽移。彼移臥具時。畏襯體不敢藏覆言世尊不聽作襯體衣。諸比丘白佛。佛言。隨所方便覆藏應移。若餘人驅起。不應起。亦不應驅他起。若有餘比丘能愛護者應與。若復國土還復。人民還安房舍治竟。不還復臥具。諸比丘白佛。佛言若爾不還復臥具。當如法治。

爾時舍利弗。得上色碎段衣財。欲作五納衣。白佛。佛言聽作。爾時有住處。現前僧大得可分衣物。六群比丘各相推倚。不肯藏擧遂失去。諸比丘白佛。佛言。聽及有見者應收擧。

時客比丘來。移衣物著餘房。不堅牢白佛。佛言。聽別房結作庫藏屋。白二羯磨唱房名。若温室若重屋若經行屋是中差堪能作羯磨者。如上作如是白。大徳僧聽。若僧時到僧忍聽。僧結某甲房作庫藏屋白如是。大徳僧聽僧結某甲房作庫藏屋。誰諸長老忍。僧結某甲房作庫藏屋者默然。誰不忍者説。僧已忍。結某甲房作庫藏屋竟。僧忍默然故。是事如是持。時彼庫藏屋。無人守不堅牢。聽差守物人白二羯磨差。衆中當差堪能作羯磨者。如上作如是白。大徳僧聽。若僧時到僧忍聽。僧差某甲比丘作守物人白如是。大徳僧聽。僧差某甲比丘作守物人。誰諸長老忍。僧差某甲比丘作守物人者默然。誰不忍者説。僧已忍。差某甲比丘作守物人竟。僧忍默然故。是事如是持。若比丘不肯作守物人。應福饒與粥。若故不肯。一切所受衣食分應與二分。若故復不肯。當如法治。

訓読

の時、佛、舍衞しゃえ國に在しき。請食しょうじきかず。諸佛の常法、しょうに就かざれば、後に在て諸房を按行あんぎょうす。諸房を按行する時、異處いしょ有て比丘のみ、瞻視せんし供養人くようにん有ること無く、大小便中に臥すもの有るを見る。見おわりて比丘の所にいたり、知てことさらに比丘に問ひたまはく、汝、何の故にか大小便中に臥すや。瞻視供養人、有りやいなやと。答て言く、無しと。世尊、た問ひたまはく、何の故に無きやと。答て言く、我れ無病の時、他のやむず。是の故に今ま病んで人の瞻視供養する者無しと。佛言く、汝、瞻視せんしせず、病人を供養せずして利無く、所得無し。汝曹なんじら比丘、相ひ看視かんしせざれば、誰か當に病を看るべき者ぞと。時に世尊、即ち病比丘をたすけて起し、身の不淨をぬぐはれ、拭ひ已て之を洗ひ、洗ひ已て復た爲に衣をあらひ、さらして乾す。故壞こえ臥草がそう有て之をて、住處を掃除そうじょし、泥漿ないしょうを以て塗灑としゃして極て清淨しょうじょうならしむ。更に新草を敷き、ならびに一衣いちえを敷きたまふ。た病比丘を安臥あんがせしめおわり、た一衣を以て上をおおいて、捨てて去る。爾の時、世尊、食已り、此の因縁を以て比丘僧を集めたまふ。きに請に就かず、後に在て房所を行くに、病比丘を見て自ら事を料理りょうりするをて、つぶさに諸の比丘に告げ已りたまへり、汝曹なんじら比丘、自今じこん已去いこまさに病比丘を看るべし。看ざるべからず。應に瞻病人せんびょうにんと作るべし。瞻病人と作らざるべからず。若し我れを供養せんと欲する者有ば、當に病人を供養すべし。彼の比丘の和尚わじょう、若しは同和尚の阿闍梨あじゃり、若しは同阿闍梨、若しは弟子でし、應に瞻視すべきことをゆるす。若しすべて人の看るべきもの有ること無くば、衆僧しゅそう、應に瞻病人をあたふべし。若しうべなはざれば、應に次第してしゃすべし。若し次第して差し肯はざれば、法の如く治す。若し比丘無くば、比丘尼びくに、所に隨てすべきことを作すべし。比丘に觸れるべからず。若し比丘尼無くば、式叉摩那しきしゃまな、所に隨て應作を作すべし。比丘に觸れるべからず。若し式叉摩那無くば、沙彌しゃみ、應に作すべし。若し沙彌無くば、沙彌尼しゃみに、所に隨て作すべきことを作すべし。比丘に觸れるべからず。若し沙彌尼無くば、優婆塞うばそく、應に作しべし。若し優婆塞無くば、優婆私うばし、所に隨て作すべきことを作すべし。比丘に觸れるべからず。病人に五事有て、がたし。じきすべからず所にして而も食することを欲し、藥を服することをうべなはず。看病人、至心ししん有れども而も如實に語らず。行くべくして行かず、住すべくして住せず。身に苦痛有て堪忍こんにんすること能はず、身に少しく堪能有れども而も他の作をあおぐことを作さず。病者に是くの如き五事の難有り。看病人に五法有て、看やすし。食せざるべからずは食せず、喜んで藥を服す。如實に瞻病者に語る。行くべきは便すなわち行き、行くべからざれば行かず、住すべくば便ち住す。身に苦痛有て能く忍び、身に少しく能作有れども便ち病人と作る。是くの如き五事有て、看易し。病人に復た五法有て、看難し。四事は上の如し。第五事は靜坐じょうざ内心ないしん止息しそくすることはず、此の五事有て、看難し。病人に五事有て、看易し。四事は上の如し。第五は、能く靜坐し内心を止息す。病人に是くの如き五事有て、看易し。爾の時、比丘有て、拘薩羅くさら國に在り道路に行て、一の小住處に至る。病比丘有て瞻視者有ること無く、大小便中に臥すを見る。彼れ是くの如き念を作す。世尊に教有り、應に病人を看るべし。看ざるべからず。應に瞻病人と作るべし。瞻病人と作らざるべからず。病人を供養すべし。病人を供養せざるべからず。其の病人を供養すること有らば、是れ我れを供養すと爲すと。彼れ即便すなわち病人をるも、病者死す。爾の時、比丘、亡者の衣鉢えはつを持ち、舍衞しゃえ祇桓精舍ぎおんしょうじゃの中に往く。佛の所に往て頭面禮足し、此の因縁を以て具さに世尊に白す。世尊言く、善い哉、善い哉、比丘、汝、乃ち能く病比丘を瞻視す。まさに病比丘を供養すべし。比丘を瞻病する人と作て、病比丘を供養するは、是れ我れを供養すると爲す。彼れ亡比丘もうびくの衣鉢・坐具・針筒を持て來る。此の住處の現前僧、應に分つべしと。爾の時、世尊、諸の比丘に告げたまはく。亡比丘の衣・鉢・坐具・針筒を持て瞻病者に與へよ。應に白二びゃくに羯磨こんまを作して是くの如く與ふべしと。時に瞻病人、應に僧中に至て偏露へんろ右肩うけんして革屣かくしを脱し、僧足に禮して白すること是くの如し、大徳だいとこそう、聽け。某甲比丘、彼の住處に命過みょうかせり。衣・鉢・坐具・針筒・盛衣じょうえ貯器ちょきは、此の住處の現前僧、應に分つべしと。是くの如く第二・第三説す。僧中、當に羯磨こんまを作すに堪能たんのうなる者を差すべし。若しは上座、若しは次座、若しは誦律じゅりつ、若しは不誦律、羯磨を作すに堪能なる者は、是の如くびゃくを作すべし。大徳僧、聽け。某甲比丘、命過せり。所有の衣・鉢・坐具・針筒・盛衣貯器、此の住處の現前僧、應に分かつべし。若し僧時到らば僧、某甲看病比丘に與ふることを忍聽にんちょうせよ。白すること是くの如し。大徳僧、聽け。某甲比丘、命過せり。所有の衣・鉢・坐具・針筒・盛衣貯器、此の住處の現前僧、應に分つべし。僧、今ま某甲看病比丘に與ふ。誰か諸の長老、某甲看病比丘に衣・鉢・坐具・針筒・盛衣貯器を與ふることを忍する者は默然もくねんせよ。誰か忍せざる者は説け。僧、すでに忍す。某甲看病比丘に衣・鉢・坐具・針筒・盛衣貯器を與へ竟る。僧、忍して默然するが故に。是の事、是くの如く持つ若し僧中の羯磨は一人を差して分たしむ。亡者の衣物羯磨も、此れと異なること無し。唯だ一句を益して言く、僧、某甲比丘の衣を與ふ。某甲比丘、當に還た僧に與ふべし。白すること是くの如しと

爾の時、舍衞國に多知識の比丘有て死せり。彼に多く三衣さんえ有り。諸の比丘、何者を以て瞻病人に與ふべきかを知らず。諸の比丘、佛に白く。佛言く、彼の亡者の常所じょうしょ侍者じしゃに與ふることを聽すと。佛、瞻病者に衣を與ふることを聽し玉ふ。時に比丘有て、小小しょうしょう瞻病す。或は一たび起つるを扶く。或は一たび臥するを扶く。或は一たび楊枝ようじ・水を與ふ。便ちの衣鉢を取る。佛言く、是くの如き小小の瞻病は便ち彼の衣鉢を取るべからず。五法の看病人有て病人の衣物を取るべからず。何等をか五となす。一つには病者の食すべきか食すべからざるか知らず、食すべきを與へず、食すべからずを而も與ふ。二つには病人の大小便・唾吐を惡賤あくせんす。三には慈愍心有ること無く、衣食えじきの故に爲す。四つには病人の爲に湯藥とうやく經理きょうりすること能はず、すなわゆに至り、若しは死す。五つには病人の爲に説法して病者を歡喜せしめること能はず、己身、善法に於て損減す。是くの如き五法有て、病人の衣物を取るべからず。五法有て應に看病人に衣物を與ふべし。何等をか五となす。一つには病人の食すべきか食すべからざるかを知り、食すべきは能く與ふ。二つには病人の大小便・唾吐を惡賤せず。三つには慈愍心有て、衣食の爲にせず。四つには能く湯藥を經理し、乃ち差ゆに至り、若しは死す。五つには能く病人の爲に説法して、病者をして歡喜せしめ、己身、善法に於て増益す。是くの如く五法有て、應に病人の衣物を取るべし。若し病人終らんと欲する時にのぞみ、是くの如き言り、我が此の衆物しゅもつ、佛に與へ、法に與へ、若しは僧に與へ、若しは塔に與へ、若しは人に與ふ。若し我れ終らば後に與へよ。若し死せざれば、我に還せと。佛言く、是くの如く與ふべからず。應に現前僧に分つべし。彼の病比丘、是くの如き念を作さく。我れ當に不好の三衣を受くべし。恐くは瞻病者、取り去らん。佛言く、是くの如き念を作すべからず、我れ不好の三衣を受くべし。恐くは瞻病者、取り去らんと。應に好者を受くべしと。時に病人、衣鉢を捉て餘處に送著そうじゃくす。恐くは瞻病人取らんと。後に病差へて著くる所無し。諸の比丘、佛に白く。佛言く、是くの如き意を作すべからず、衣を餘處に送るべし。恐くは瞻病者、得んと。

爾の時、舍衞國に多知識の比丘有て命過せり。彼の比丘、三衣多し。諸の比丘、何等の衣を持て瞻病比丘に與へんかを知らず。比丘、佛に白く。佛言く、應に此の瞻病人の云何を看るべし。若し能く極上に瞻病せば、應に上の三衣を與ふべし。若し中ならば中の三衣を與ふべし。若し下ならば下の三衣を與ふべしと。

爾の時、舍衞國に負債ふさい比丘びく有て命過せり。諸の比丘、誰か當にあがなふべきか知らず。佛に白く。佛言く、長衣じょうえを持て償ふことを聽す。若し物無くば三衣を賣て與へよ。餘有らば瞻病人に與へよ。瞻病人、病比丘問ふことを聽す。何者か是れ三衣、何者か是れ長衣、汝、誰にか負ふ。誰か汝に負ふ。汝、應に誰に與ふべしと。若し問はざれば法の如く治すと。時に病比丘有て、身にかさを患ひ衣・臥具を汚す。佛言く、覆身衣ふしんえを畜ふことを聽すと。或は衣毛えもう有て結𦶇けちじょうして瘡にき、或は時にいたみを患ふ。佛言く、大價だいけ好衣こうえを取て身を覆ひて内外に著け、涅槃僧ねはんそうを著くことを聽す。若し白衣舍びゃくえしゃに至らば。應に語て言ふべし。我れ瘡を患ふ。若し白衣の苦無く、但だ坐せと言はば、應に涅槃僧をかかげて坐せ。爾の時、比丘、下脱げだつ痔病じびょうを患ふ。麁木そもくを以て籌草ちゅうそうを作り、痛を患ふ。佛言く。さい、若しは劫貝こうばい、若しは鳥毛うもう故衣物こえもつを以て之を拭ふことを聽すと。用ひおわり擧置こちしてあらはず。諸の比丘、見て便ち汚賤おせんす。佛に白く。佛言く、用ひ竟て擧置して浣はざるべからず。應に浣ふべしと。彼れ浣ひ已て絞りて水を去らず、爛壞らんえして虫しょうず。佛言く、應にしぼりて水を去り、晒して乾かしめよと。時に病比丘有て、身に瘡を患ひ、臥具を汚衣おえす。佛に白く。佛言く、覆瘡衣ふそうえを畜ふことを聽す。若し自ら衣無くば、僧中に衣を取て作ることを聽す。作り已て彼の比丘、敢て此の住處を移らず、覆瘡衣、餘處に著く。佛に白く。佛言く、移ることを聽す。比丘後に瘡へ、持て本處に還さず。佛に白く。佛言く、若し差へば應に浣ひ染めて治し、本處に還すべし。若し還さざれば法の如く治すと。

爾の時、六群ろくぐん比丘、とばりを作る。諸の白衣びゃくえ、見て皆共に譏嫌きげんす、沙門釋子、止足しそく有ること無く、慚愧ざんきを知らず、自ら我れ正法しょうぼうを知ると言ふ。是くの如きは何の正法か有る。猶ほ國王・大臣の如しと。諸の比丘、佛に白す。佛言く、帳を作るべからずと。時に比丘有て、露處に在り大小便して形を露す。諸の比丘、佛に白く。佛言く、草、若しは樹葉、若しは樹枝じゅし伊梨延陀いりえんだの耄羅・耄耄羅、若しは氍氀くるを以て覆障ふしょうを作ることを聽すと。爾の時、六群比丘、ほろを作る。時に諸の白衣、見て皆共に譏嫌して言く、沙門釋子、止足有ること無く、慚愧を知らず、自ら我れ正法を知ると言ふ。是くの如きは何の正法か有る。猶ほ國王・大臣の如しと。諸の比丘、佛に白く。佛言く、幰を作るべからずと。時に諸の比丘、行を道くに熱を患ふ。佛に白く。佛言く、草、若しは、十種衣中のごときは一一の衣を以て覆障を作ることを聽すと。爾の時、衆僧、複衣ふくえを得。佛言く、畜ふことを聽すと。

時に比丘、三衣を持することを知らず。佛言く、應に受持すべし。若し疑はば、應に捨て已て更に受くべし。若し三衣有て受持せざれば突吉羅とっきらなり。佛、是くの如く語りたまふ、應に三衣を受持すべしと。彼れ小小しょうしょうころもを受けて三衣につ。若しは拭身巾しきしんこん、若しは拭面巾しきめんこん臥氈がせんなり。佛に白く。佛言く、是くの如き小小の衣を持て三衣に當つべからずと。佛言く、ながさ四肘・ひろさ二肘の衣を以て安陀會あんだえを作り廣三肘・長五肘の欝多羅僧うったらそうを作ることを聽す。僧伽梨そうぎゃりも亦た是くの如しと。時に諸の比丘、衣こわる。佛言く、補治ふじすることを聽すと。彼れ云何いかんが補治せんを知らず。佛言く、納衣のうえを著ることを聽す。せんを重ねてさかいみ、あなの大・小・方・圓に隨て補せと。

時に諸の比丘、割截衣かつぜちえを著けずして聚落じゅらくに入れり。白衣、見已て皆譏嫌きげんして言く、沙門釋子、止足有ること無く、慚愧を知らず、自ら我れ正法を知ると言ふ。是くの如きは何の正法か有る。割截衣を著けず聚落に入ること、ほ外道の如しと。諸の比丘、佛に白く。佛言く、割截衣を著けずして聚落に入るべからず。五事の因縁有て、僧伽梨を留む。若しは恐怖くふを疑ひ、若しは雨、若しは雨を疑ひ、若しは僧伽梨を作るに未だ成らず、若しはあらひ、若しはめ、若しは色をし、若しは堅くす。是くの如き五事の因縁有て、僧伽梨を留むと。爾の時、比丘、かえして僧伽梨を著け聚落に入る。餘の比丘、見て喜ばず。佛に白く。佛言く、反して衣を著、聚落に入るべからず。比丘、畏愼いしんして敢て聚落の外にて反して衣を著けず。風塵ふうじんの日にさらして虫鳥汚穢おえす。諸の比丘、佛に白く。佛言く。聚落の外にて反して衣を著ることを聽すと。爾の時、比丘、縵衣まんえを得て、廣長足れり。即ち裁割ざいかつして衣を作り、少しく帖葉衣じょうようえを作らんと欲す。佛に白く。佛言く、作ることを聽すと。爾の時、比丘、縵衣を得て、廣長足れり。五納衣ごのうえを作らんと欲す。佛に白く。佛言く、作ることを聽すと。時に諸の比丘、衣ぼんして捨つ。佛に白く。佛言く、捨つることを聽す。若しは僧中、若しは衆多人、若しは一人に於て應に捨つべし。然る後、淨施じょうせせよ。捨てざるべからず。應に捨て、然る後に遣はすべし。捨てずして遣はすべからずと。彼の比丘、捨せず、便ち受用して三衣を作り、波利迦羅ぱりからを作り、故壞こえ故燒こしょうを用て非衣を作り、若しは數數著く。若し捨てずして受用し、三衣・波利迦羅衣を作り、故壞・故燒を用て非衣を作り、若しは數數著くべからずと。諸の比丘、是くの如く念を作す、波利迦羅、現在前せざれば尼薩耆にさぎを得るや不やと。佛言く不犯ふぼんなり。彼れ衣を捨てず、便ち著く。佛に白く。佛言く、捨てずして便ち著くべからずと。彼の比丘疑ひ、敢て捨墮衣しゃだえを以て人に與へず、用て被衣ひえを作る。佛に白く。佛言く、人に與ふることを聽す。被衣を作ることを聽すと。時に比丘、畏愼して燒衣しょうえ奪衣だつえ漂衣ひょうえするも、敢て著けず。佛に白く。佛言く、著くことを聽す。時に比丘、衣を捨てずして、便ち他に與へて貿易むやくす。佛に白く。佛言く、衣を捨てざるべからず。應に捨て、然して後に貿易すべし。諸の比丘、是くの如く念はく。衆僧しゅそうの衣、十日を過ぐれば捨墮しゃだを犯ずるや不やと。佛に白く。佛言く、不犯なりと。時に比丘、衣を淨施して主に還さず、突吉羅を犯ず。若し遮して與へざれば突吉羅なり。時に諸の比丘、衣を染めず色を壞せずして、便ち白衣舍に寄す。白衣、取て著く。佛に白く。佛言く、染めず、及びしきせずして便ち白衣舍に寄すべからず。應に染め、色を壞して沙門衣しゃもんえを作し、然して後に白衣舍に寄すべしと。

爾の時、比丘、上狹じょうきょう下廣衣げこうえを得、受用して僧祇支そうぎしと作す。佛に白く。佛言く、作すことを聽すと。

爾の時、異住處の現前僧、大いに可分の衣物えもつを得。六群比丘、界外かいげに出て共に分つ。諸の比丘、佛に白く。佛言く、界外に出て分つべからずと。時に長老比丘有て多知識なるが人間に遊行し、大いに現前僧の分つべき衣物を得るも、分ち難し。彼れ佛、界外に出て衣を分つことを聽したまはずと畏愼す。諸の比丘、此の事を以て佛に白く。佛言く、應に是くの如く唱令しょうりょうして言へ、來れ、某甲、某甲の處へ向へ。衣を分たんと。若し可分衣は應に分つべしと。彼れいかなる時に分つべきか知らず。應に相を作し、若しは時をはかり、影を量り、若しは煙を作し、若しはばいを吹き、若しはを打ち、若しは揵槌ごんずいを打ち、若しは時至れりとびゃくし、若しは自ら來、若しは人をやりて來らしめ、應に分ち與ふべし。

彼の諸の比丘、轉じて臥具がぐふ。佛言く、うつふべからずと。或は房有て臥具多く、或は房有て臥具少し。佛言く、自今已去、舊住人くじゅうにん、若しは摩摩帝ままてい、若しは經營人きょうえいにんに、若しは次に房を得る者は、應に問て然る後に移轉することを聽すと。彼の比丘、臥具を移し已て、去る時、本處に還復げんぷくせず。餘の比丘、復た用ふ。佛言く、應に臥具を復し本處に著て去るべし。若しせざれば當に法の如く治す。時に房舍、崩壞ほうえせり。諸の比丘、畏愼して敢て臥具を移轉せず。佛に是くの如き言有り、臥具を移轉すべからずと。諸の比丘、佛に白く。佛言く、若し房舍崩壞せば、應に臥具を移轉すべしと。彼れ臥具を移轉して餘房に著く。餘房、敢てせず、便ち爛壞らんえす。佛に白く。佛言く、應に臥時がじに用ふべしと。佛、臥に用ふることを聽したまふ。諸の比丘、便ち脚を洗はず、脚を拭かずして、用て襯體衣しんたいえと作す。諸の比丘、佛に白く。佛言く、脚を洗はず、脚を拭かずして、もちいて襯體衣と作すべからず。佛、既に襯體衣と作すことを聽したまはず。諸の比丘、畏愼して敢て手脚に近づけず。諸の比丘、佛に白く。佛言く、わきよりひざに至るまで、からだじかたすべからずと。時に諸の白衣、比丘に襯體衣を施す。比丘、畏愼して敢て受けず。佛に白く。佛言く、應に檀越だんおつの衣を施すに隨ふべし。應に受くべしと。彼れ房舍を壞して已に治すも、臥具を還復せず。比丘、佛に白く。佛言く、若し房舍、すでに治せば、應に臥具を還復すべし。若し復せざれば應に法の如く治すべしと。彼の諸の比丘、此の住處より定臥具を移して彼の處に至る。佛に白く。佛言く、此の住處の定臥具を移して彼の處に至るべからずと。國土の人民にんみん、反亂の恐怖くふ有り、住處亦た壞す。彼れ畏愼して敢て臥具を移さず。佛、此の住處の定臥具を移して彼の處に至ることを聽したまはずと。諸の比丘、佛に白く。佛言く、若し是くの如き事有らば、移すことを聽すと。彼れ臥具を移す時、體に襯することを畏れて敢て藏覆ぞうふせず。言く、世尊、襯體衣と作すことを聽したまはずと。諸の比丘、佛に白く。佛言く、所に隨て方便して覆藏し、應に移すべし。若し餘人、たしむとも、起つべからず。亦た他を驅りて起たしむべからず。若し餘の比丘有て、能く愛護せば應に與ふべし。若し復た國土還復げんぷくし、人民還た安じて房舍治し竟りて、臥具を還復せず。諸の比丘、佛に白く。佛言く、若し爾して臥具を還復せざれば、當に法の如く治すべしと。

爾の時、舍利弗、上色じょうしき碎段さいだんせる衣財えざいを得、五納衣を作らんと欲す。佛に白く。佛言く作ることを聽すと。爾の時、住處有り、現前僧、大いに可分の衣物を得。六群比丘、おのおの相ひ推倚すいきし、うべなひて藏擧ぞうこせず、遂に失去しつこす。諸の比丘、佛に白く。佛言く、及び見る有る者、應に收擧しゅうこすることを聽すと。

時に客比丘きゃくびく來り、衣物を移して餘房に著く。堅牢ならず。佛に白く。佛言く、別房に結して庫藏屋くぞうおくを作すことを聽す。白二羯磨して房名を唱へよ。若しは温室おんしつ、若しは重屋じゅうおく、若しは經行屋きょうぎょうおくなり。是の中、羯磨を作すに堪能なる者、上の如く、是くの如き白を作せ。大徳僧、聽け。若し僧時到らば僧、忍聽せよ。僧、某甲房むこうぼうを結して庫藏屋と作す。白すること是くの如し。大徳僧、聽け。僧、某甲房を結して庫藏屋と作す。誰か諸の長老、僧、某甲房を結して庫藏屋と作すことを忍する者は默然せよ。誰か忍せざる者は説け。僧已に忍す。某甲房を結して庫藏屋と作し竟ぬ。僧、忍して默然するが故に。是の事、是くの如く持すと。時に彼の庫藏屋、人の守る無く、堅牢ならず。守物人を差すことを聽す。白二びゃくに羯磨こんまして差せ。衆の中の羯磨を作すに堪能なる者を差せ。上の如く、是くの如き白を作せ。大徳僧、聽け。若し僧、時到らば僧、忍聽せよ。僧、某甲比丘を差して守物人しゅもつにんす。びゃくすること是くの如し。大徳僧、聽け。僧、某甲比丘を差して守物人と作す。誰か諸の長老、僧の某甲比丘を差して守物人と作すことを忍する者は默然せよ。誰か忍せざる者は説け。僧、已に忍す。某甲比丘を差して守物人と作し竟ぬ。僧、忍して默然するが故に。是の事、是くの如く持すと。若し比丘、守物人と作ることをうべなはざれば、應に福饒ふくにょうしてしゅくを與ふべし。若し故ほ肯ざれば、一切所受の衣食えじき、分ちて應に二分を與ふべし。若し故ほ復た肯んざれば、當に法の如く治すべしと。

脚註

  1. 按行あんぎょう

    案行に同じ。調べ歩くこと。巡察。

  2. 瞻視せんし供養人くようにん

    看護し、身の回りの世話をする者。

  3. 臥草がそう

    寝床として敷く干し草。

  4. 料理りょうり

    物事を整え、適切に処理すること。

  5. 和尚わじょう

    [S] upādhyāya / [P] upajjhāya. 師主、親教師。いわゆる師匠の意。和尚は梵語upādhyāyaが胡地にて転訛したkhoshaの音写であったが、新訳家からは不正と批判され烏波陀耶などとするのが正しいとされる。仏教において和尚とは、ある比丘個人の師僧を云う語であって何らか位階を表すものでない。そして比丘が、他の出家(比丘・沙弥)の師すなわち和尚となるには、自身が具足戒を受け比丘と成ってから最低でも十夏を過ごしており、経律に通じ、他を教導するに値する徳を具えた者でなければならないとされる。
    なお、現今の日本において非常に誤解されている点であるが、具足戒における和尚の役割は「戒を与えること」などでは決して無く、「自身の弟子が比丘として承認されることを僧伽に乞うこと」であり、またその受者の保護者・指導者としてその身元を保証することに過ぎず、受具足戒式を主導することではない。
    ここで瞻視供養人(看病者)を務めるべき者として第一に「和尚」が挙げられているが、そもそもそれは和尚たる者に義務づけられたものであるため。

  6. 阿闍梨あじゃり

    [S] ācārya / [P] ācariya. 先生。仏教の出家者における阿闍梨には五種類が数えられるが、ここではその中、依止阿闍梨が意味される。そして「同和尚の阿闍梨」は、その病比丘と師を共にする兄弟弟子で、依止阿闍梨たる者の意。
    依止阿闍梨とは、ある比丘・沙弥の和尚が旅など所要、あるいは死去するなど不在であある場合に、その沙弥・比丘の代理の師、依止師(指導者)としての役割を担う者。依止阿闍梨たりえる者の条件は、和尚に同じで十夏以上で経律に通じており他を教導する能力あること。

  7. 弟子でし

    ここでは病比丘となった者が和尚である場合、その弟子である比丘。そもそも弟子には和尚に対してその身の回りの世話、病気の際には看病する義務が存しており、同時に和尚はその弟子の教育全般とやはり病気の際の看病が義務とされる。

  8. 白二びゃくに羯磨こんま

    僧伽において何か審議し決定すべき事項の議事進行方法の一。僧伽に議題を発議し(白)、ただ一度その是非を問うて議決する。僧伽においてそれほど重要ではなく、しかし議決が必要な際に行われる羯磨。

  9. 偏露へんろ右肩うけん

    印度における礼法・礼式で、対象者に右肩を肌ぬいで敬意を表すこと。偏袒右肩とも。

  10. 革屣かくし

    革製の履き物。比丘は基本的に素足でなければならないが、大地がなだらかでなく固い荒れた地において革履の使用が許される。ただし、印度における礼式に基づき、敬すべき対象を前にしたときは必ず履き物を脱いで礼を作さなければならない。これは現代の南アジア・東南アジアの仏教徒にも受け継がれ、実行されている。

  11. 盛衣じょうえ貯器ちょき

    衣簏に同じ。衣類を収納する箱など。
    『四分律名義標釈』「貯。直呂切。除上聲。如上俱夜羅器句中釋」

  12. 羯磨こんま

    [S] karma / [P] kamma. 行為、行い。一般に業と漢訳される。律においては僧伽の行事(僧事)における定められた言葉を意味し、往古の訳経者は峻別するためであろう、これを敢えて業と漢訳せず羯磨と音写した。日本において、呉音でならば「こちま」と読むべきものであるが、南都では古代以来これを「こんま」と読み習わす。それはあるいは菩提僊那や仏哲、あるいは鑑真が印度語あるいは支那語でそのように読んでいたことの残滓であるか。そのような影響を敢えて受けない北京・北嶺ではこれを漢音で「かつま」と訓じる。

  13. 常所じょうしょ侍者じしゃ

    常に側仕えて随時する者。作供養人、随行。

  14. 經理きょうり

    物事をととのえ、治めること。けいり。

  15. 負債ふさい比丘びく

    沙弥あるいは式叉摩那が比丘あるいは比丘尼として受具する際、その結核条件として「負債人(債務者)」であることが挙げられる。しかしながら、この一節で「負債の比丘」なるものの存在が云われているように、比丘・比丘尼として認証されて以降は、比丘として何等か債務を負うことが許されていた。富裕の比丘の存在があるならば負債の比丘もまたあったのである。

  16. 結𦶇けちじょう

    異本では𦶇を緝あるいは繓とする。長い毛があることによってそれが傷に触れ、あるいは瘡(かさぶた)に巻き込まれて固まることをいったものであろう。
    『四分律名義標釈』「繓。子括切。鑽入聲。舊音作。結也。一曰縫餘。當解意律本舊作緝。應師又作㲨

  17. 下脱げだつ痔病じびょう

    脱肛。内痔核であろう。

  18. とばり

    四方、あるいは部屋の入口などに垂らす幕。
    『四分律名義標釈』「帳。知亮切。音障。帷也。帷亦幔也。三禮圖。以在上曰帟。四旁及上曰帷。上下四㫄悉周。曰幄帟音繹幄。音握

  19. 覆障ふしょう

    目隠し。

  20. ほろ

    (牛あるいは馬)車用の幕。ほろ。
    『四分律名義標釈』「幰。呼典切。音顯。車幔也。蒼頡篇云。布帛張車上為幰也」

  21. 複衣ふくえ

    未詳。字義からすれば二重(かさね)の布あるいは衣か。僧伽梨はすべからく二重(以上)すなわち複衣でなければならぬが、それとは別に挙げられることからすれば、僧伽梨に用いるのとは異なる、二重の布・衣ということか。

  22. 小小しょうしょうころも

    非常に小さな布あるいは衣。
    仏陀は三衣を所持することを必須とされたものの、その大いさはいまだ定められていなかった。そこで一部の愚かな比丘が、ごく小さい布をもって三衣いずれかに充てて済ませるようになった。そこで仏陀は改めて衣の規定の大きさを定められた。沙門衣(いわゆる袈裟衣)と称するには、その大きさ・色・素材・取得方法などの条件を満たしたものでなければならない。
    したがって、現今の日本における諸宗の僧職者らが「お袈裟」などと称し、あまつさえ伏し拝んでから身につけるなどしている輪袈裟・略五条・威儀細・加行袈裟・紋付き・絡子などの類は沙門衣(袈裟衣)ではなく、またその代用にもならない。ただ彼らが自称しているのみの奇妙な布切れに過ぎず、仏教の沙門が身につけるべきものではない。

  23. ながさ四肘ひろさ二肘の衣を以て安陀會あんだえ...

    安陀会の規定の大きさは、それを着する者の肘(腕と指を真っ直ぐ伸ばした際の肘の先から中指の先端までの長さ)を以てして横四肘・縦ニ肘。もしこれが仏量を以てしたものであると解したならば、その倍量すなわち横八肘・縦四肘となる。これ以下の大いさの衣(日本でいうところの五条衣)は沙門衣として認められない。
    なお、では横四肘・縦ニ肘または横八肘・縦四肘とは、現代のメートル法で言えばいかなる大いさとなるか。例えば菲才の場合(身長180cm・一肘50cm)、それぞれ横200cm・縦100cm、または横400cm・縦200cmとなる。しかし、これが現実に不具合と感じられる場合は、その不具合を解消する程度に大きくすることは可能。あるいは仏量として考えたならば、当然大きに過ぎたものとなり、その場合、それが非法・非威儀となる。そこで肘を伸肘でなく拳肘とすると一肘は40cmとなり、したがって仏量では横320cm・縦160cmとなる。

  24. 廣三肘長五肘の欝多羅僧うったらそう...

    鬱多羅僧および僧伽梨の規定の大きさは、それを着する者の肘を以てして横五肘・縦三肘。もしこれが仏量を以てしたものであると解したならば、その倍量すなわち横十肘・縦六肘となる。これ以下の大いさの衣(日本でいうところの七条衣と大衣)は沙門衣として認められない。
    なお、では横五肘・縦三肘または横十肘・縦六肘とは現代のメートル法で言えばいかなる大いさとなるか。例えば菲才の場合(身長180cm・一肘50cm)、それぞれ横250cm・縦150cm、または横500cm・縦300cmとなる。しかし、これが現実に不具合と感じられる場合は、その不具合を解消する程度に大きくすることは可能。あるいは仏量として考えたならば、当然大きに過ぎたものとなり、その場合、それが非法・非威儀となる。そこで肘を伸肘でなく拳肘とすると一肘は40cmとなり、したがって仏量では横400cm・縦240cmとなる。

  25. 納衣のうえ

    既出。既存の衣で穴や裂けなどあるのを補修した衣。
    『四分律名義標釈』「或作五條。七條。二十五條。拾糞掃以納成也。寄歸傳云。若著納衣。意存省事。或拾遺於糞聚。或取棄於屍林。隨得隨縫。用袪寒暑耳。原西國不著百納。涅槃經云。佛言。出家之人。有四種病。是故不得四沙門果。何等四病。謂四惡欲。一為衣欲。二為食欲。三為臥具欲。四為有欲。是名四惡欲。是出家病。有四良藥。能療是病。謂糞掃衣。能治比丘為衣惡欲。乞食。能破為食惡欲。樹下。能破臥具惡欲。身心寂靜能破比丘為有惡欲。以是四藥。除是四病。是名聖行。如是聖行。則得名為少欲知足根本云。於其衣內。安苦蔘葉。或安阿魏。或苦楝葉。蟲不壞衣。十誦云。箱中有蟲。應以青木香。那毗羅草根。著衣箱中。以香故。蟲不生

  26. せん

    線に同じ。ここでは糸の意。

  27. 縵衣まんえ

    [S/P] paṭṭa. 布切れ、平板が原意。割裁衣のように細かく裁断した布を綴り合せて条を作り、田相を表したものでない、切れ目のない一枚布に縁をのみ付けた衣。一般に沙弥の衣とされるが、緊急時に比丘が三衣いずれかの代用とすることも許されている。
    『四分律名義標釈』「梵云鉢吒。此云縵條。即是一幅織成之氎。並無條隔等相者。如西洋布也。淨法師云。鉢吒者。謂是大氎。與袈裟量同。總為一幅。此方無也。根本羯磨云。佛言。諸苾芻有五種衣。不應割截。一高襵婆緂類也。二厚被帔以毛織成。三麤重厚緂。四雀眼疎布。五謂物少。截而不足。斯等五物。我今聽許。諸苾芻等。帖葉而持。於此五中。除其第五。更以厚褥為第五。便是五種。皆不可截注云。有以臥具為三衣者。雖曰深思。誠為臆斷。律云。臥具乃是眠褥。如何割截用作三衣。不合截打。此文明顯。恐懷先惑。聊復註文。按以臥具為三衣者。謂同衾被之類。故薩婆多云。臥具者。三衣之名。十誦律。名為敷具。謂同氈蓆之形也

  28. 五納衣ごのうえ

    未詳。経律に散見される語であるが何故に「五」納衣というか判然としない。道誠は『釈氏要覧』にて「納衣 又名五納衣。謂衣有五種故。十誦律云。一有施主衣。二無施主衣。三往還衣酉夭人亡衣屬以衣贈送至林却取施僧四死人衣。五糞掃衣」といい、『十誦律』でなく『根本説一切有部律』にそうあるが、しかしそれでは『四分律』の説にはあわない。

  29. 淨施じょうせ

    [S] vikalpana / [P] vikappana. 比丘もしくは比丘尼が規定数以上の所有物、すなわち余剰の物品で律の規定に触れる物を得た場合、その所有権をのみ他に与えることを宣言して移し、しかしその使用者は自らとして、律儀に抵触することを回避するための方法。ここで「浄」とは、律儀において違反せず合法であることを意味する。
    『四分律名義標釈』「文如律本出。若有長鉢。殘藥。文並準之應作。善見云。若衣物眾多。衣段段說之。若欲總說者。並縛相著。然後說之。薩婆多論云。九十六種。無淨施法。佛大慈大悲。方便力故。教令淨施。令諸弟子。得畜長財。而不犯戒。問曰。佛何以不直令弟子得畜長財。而強與結戒。設此方便。答曰。佛法以少欲為本。是故結戒。不畜長財。而眾生根性不同。或有眾生多預畜積。而後行道。得證聖法。是故如來。先為結戒。而後方便。於佛法無礙。眾生得益。淨施法者。如錢一切寶物。應先求一知法白衣淨人。語意令解。言。我比丘之法。不畜錢寶。今以檀越為淨主。後得錢寶。盡施檀越。得淨主已。後得錢寶。為比丘邊說淨。不須說淨主名。說淨[A6]已。隨久近畜。若淨主死。遠出異國。應更求淨主。除錢及寶。一切長財。盡五眾邊作淨。應求持戒多聞有德者。而為施主。後設得物。於一比丘邊說淨主名。而說淨法。若淨主死。遠至異國。應更求淨主。除一切罪人。及盲。聾。瘖。瘂。病壞心等。凡淨施者。欲令清淨作證明故。不生鬬諍。如是等人。則不如法。五分律云。不應淨施與五種人。一者不相識。二者未相諳悉。三未相狎習。四非親友。同師。五非時類。復有二法。不應淨施。一不能讚歎人。二不能與人作好名稱。復有二法。一不能受人重物淨施。護如己有。二[A8]己有重物。不能淨施。彼用不恨。復有二法。一不知彼在世與不。二不知彼在道與不。不應淨施白衣。應淨施五眾。雜事云。有苾芻對他苾芻分別衣物。其所對者。是鬬諍人。常與苾芻諍競。懷瞋欲去。其分別衣人見去。啼泣。報言。勿去。雖復苦留。而不肯住。諸人謂曰。汝勿留此惱亂眾人。答言。我常對此分別衣物。餘處無有委寄之人。佛言。若委寄苾芻。設居海外。但令身在。遙指委寄。亦無有過。時有苾芻。於極遠方。指他苾芻。作威寄人。彼便命過。苾芻聞時。已經多日。不知云何。佛言。初既聞已。所有新舊物。即於餘人。而作委寄。復有苾芻。對他苾芻。分別衣物。所對苾芻。忽然歸俗。後時憶念。我雖還俗。彼物屬我。我宜就索。苾芻白佛。佛作是念。由諸苾芻。以彼苾芻。為委寄者。即還對彼。而作分別。有如是過。是故我今制諸苾芻。不應對彼委寄之人。分別衣物。根本羯磨云。應於二師。及餘尊類。而作委寄。應持其物。對餘苾芻。作如是說。具壽存念。我某甲有此長衣。未為分別。是合分別。我今於具壽前。而作分別。以鄔波駄耶。作委寄者。我今持之。第二第三。亦如是說(舊云說淨者。取意也。淨師注云。此中但云。於其二師而為委寄。意道彼師之衣。表其離著。無屬己之累。然亦不須請為施主。律云。但遣遙指即休。不合報知。其人若死。餘處遙指。但有如此一途分別衣法。更無展轉真實之事。設有餘文。故非斯部之教。凡言委寄者。欲明其人。是可委付也。此是根本部意。若依本部準如律文應作。又彌沙塞部。與此部大同。彼復開獨住比丘心念說淨法。如九十事中。過量作衣戒釋)。資持引地持論云。菩薩先於一切所畜資具。為非淨故。以清淨心。捨與十方諸佛菩薩。如比丘將現前衣物。捨與和尚闍黎等。涅槃云。雖聽受畜。要須淨施篤信檀越。是也。今時講學。專務利名。不恥五邪。多畜八穢。但隨浮俗。豈念聖言。自下壇場。經多夏臈。至於淨法。一未霑身。寧知日用所資。無非穢物。箱囊所積。並是犯財。慢法欺心。自貽伊戚。學律者。知而故犯。餘宗者。固不足言。誰知報逐心成。豈信果由種結。現前袈裟離體。當來鐵葉纏身。為人則生處貧窮。衣裳垢穢。為畜則墮於不淨。毛羽腥臊。況大小兩乘。通名淨法。倘懷深信。豈憚奉行。故輔行記云。有人言。凡諸所有。非己物想。有益便用。說淨何為。今問。等非己財。何不任於四海。有益便用。何不直付兩田悲敬兩田。而閉之深房。封於囊篋。實懷他想。用必招愆(犯盜)。忽謂己財。仍違說淨。說淨而施。於理何妨。任己執心。後生倣效。故知不說淨人。深乖佛意。兩乘不攝。三根不収。若此出家。豈非虗喪。於戲五邪如迦絺那衣犍度中釋。入穢如捉寶戒中釋

  30. 波利迦羅ぱりから

    既出。覆身衣・拭身巾・拭面巾・僧祇支・泥洹僧(涅槃僧)など、三衣以外に下着あるいはいわゆるタオル・手ぬぐい・包帯の類として用いられる布を云うものであるとされる。

  31. 尼薩耆にさぎ

    尼薩耆波逸提の略。[S] naiḥsargika-prāyaścittika / [P] nissaggiya-pācittiya. 捨堕もしくは棄堕と漢訳される。前述の波逸提(堕罪)とは異なることに注意。
    比丘・比丘尼の所有物に関する律儀の範疇。物品を規定数以上、あるいは不正に所得した場合に問われる罪。これを犯した場合、該当する物品は僧伽に対して所有権を放棄し、かつ四人以上の比丘または比丘尼に面前して懺悔しなければならない。

  32. 捨墮衣しゃだえ

    尼薩耆波逸提に抵触する衣。

  33. 被衣ひえ

    未詳。字義からすれば被服に同じで、三衣以外の、所持・着用が許された下着の類の衣ということであろうか。

  34. 燒衣しょうえ

    何らかの原因で自身の衣が焼けて失うこと。

  35. 奪衣だつえ

    何者かに自身の衣を奪われて失うこと。

  36. 漂衣ひょうえ

    河川などに自身の衣が流されて失うこと。

  37. 捨墮しゃだ

    尼薩耆波逸提に同じ。

  38. 上狹じょうきょう下廣衣げこうえ

    上部が幅狭く下部が広い衣。僧祇支の形態の一。いわゆるTシャツの右肩部分を欠いたものを想像するのが良いであろう(下図右)。ガンダーラや東南アジアの仏像に、まさに上狹下広衣というべき内衣を付けたものが遺されている。
    宋代の元照は「上狹下広衣」とは僧祇支の漢訳であるとしながら、しかしそのような形態のものがあることを知らず、「梵語僧祇支。此云上狹下廣衣此據律文。以翻全乖衣相。若準應法師音義。翻云掩腋衣。頗得其實」と不審を表明している。

  39. 界外かいげ

    ここで界とは、ある地域あるいは区域の比丘を一単位として現前僧伽を構成するための区割り。界外とはその区割り外の場所。
    六群比丘が意図的に界外に出て衣を分かったのは、界内にあったならばその界にある比丘数で均等に分与しなければならないため。

  40. ばい

    法螺貝。

  41. 太鼓。

  42. 揵槌ごんずい

    [S] ghaṇṭā. 時が来たことを知らせるための打ち木。声鳴と漢訳される。一般に「鐘」を意味するものと解されるが、古代印度では金属製のいわゆる「鐘」など存在せず、あったとしても銅など合金の平板であったろう。犍稚とも。「かんつい」・「かんち」とも。

  43. 摩摩帝ままてい

    [S] mamati. 寺主。その精舎を管掌する責任者。
    ただし、僧伽の運営はその界内にある全比丘の総意によってなされるため、寺主であるからといって恣意的・独断的に何事かをなし得る立場ではないことに注意。

  44. 經營人きょうえいにん

    いわゆる維那の意であろう。精舎の事務を担う比丘。

  45. 庫藏屋くぞうおく

    倉庫、収蔵庫。

  46. 温室おんしつ

    蒸し風呂、いわゆるサウナであろう。

  47. 重屋じゅうおく

    重層の建物。

  48. 經行屋きょうぎょうおく

    経行のための建物。一般に経行とは、修禅中に凝り固まった体をほぐすためや眠気を覚ますためのそぞろ歩きと理解されることが多いが、ここでは歩くことにまつわる体の状態を対象として念(sati)を確立する修習を意味し、そのための建物であろう。

  49. 守物人しゅもつにん

    僧伽あるいは精舎の什物の管理者たる比丘。

僧服関連文献